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「ええ!? 日給八万?」 「そう。つまり時給一万円」 「まままままじですか」 高校生でおこづかいもらってる身でもやっぱお金はもっとほしい。 学校帰りにスーツ着たおじさんに呼び止められ、割りのいい仕事があるからどうかと誘われ、俺はテンションマックスになった。 でも、成績順位は下から数えた方が早い俺でも知っている。 おいしい話には裏があるって。 「俺、AVとかムリですけど」 俺の言葉に真面目そうなリーマンっぽいおじさんは笑った。 「君、日本に住んでいるならもちろん〈帝国小町(ていこくこまち)〉は知ってるよね?」 ナレーション:〈帝国小町〉とは悪の組織〈狐党(きつねとう)〉から日本帝国民を守る少女五人で結成されたヒロイングループのことだ! かわいいだけじゃないないなーい! 超人パワーを秘めたる、どきどきらぶらぶガールズ戦隊なのだ! 「知ってます、俺、佐藤に似てるって言われます」 ナレーション:佐藤ヒロインとは、〈帝国小町〉の一人、自己紹介が「抱きしめたくなるあまあまどききゅん垂れ目だけじゃないないなーい! か弱いまっとうな帝国民を一人でも傷つけたら魔法のドリルでお仕置きしちゃうぞ、コーヒーには必ず小さじいっぱい入れてね、佐藤なり!」の、活発ポジションヒロインだ! 「私もそう思って前々から君に目をつけていたんだよ、コーイチ君」 「えっ?」 君、〈帝国小町〉の佐藤ヒロインに一日だけなってくれないかな?

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