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なんでも佐藤、先月入院したんだと。
詳しくは教えてもらえなかったけど、どうもストレスによる精神系の病らしい、うーん、ヒロインって大変なんだな。
でもメンバー全員が参加必須のイベントが近々あって、代わりに俺に出てほしいってことで。
政府関係のえら~い人達も出席する式典らしい。
誰かを替え玉にできないかって〈帝国小町〉支援部があっちこっち適任者を探し回った結果、友達いわく女顔で佐藤くりそつな俺に白羽の矢がずぶって突き刺さったわけだ。
素行調査はとっくに完了して家庭環境なんかも把握済みだってさ、こわ、そんなん気づかなかったし、マジこわ。
他のメンバーの後ろで一日にこにこしてればいいって、そう、聞いてたから。
俺、その仕事引き受けちゃった。
そしたらさ。
「狐党、来ちゃいましたー」
「とりあえず隣の奴殴っとこ」
だるだる狐党が関係者に成りすまして式典に入り込んでたんだよー!
聞いてないよー! 聞いてないよー!! こわいよー!!!!
他の〈帝国小町〉は政府のお偉いさんってやつを守るのに集中しちゃうし、場内騒然ってやつ? 支離滅裂? 五里霧中?
俺、狐党に捕まっちゃった……。
「え、なに、佐藤って男だったの?」
「マジかよ、一番タイプだったのに、しょっくー」
「いや、でも全然いけるけどね」
「つぅか、なんか弱くね?」
「アレの日なんじゃね?」
「ばーか、男だって確認したばっかだろ」
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