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目隠しつきで連れてこられた、この場所って、狐党のアジトなんだろーか。
いかにも悪い人が潜んでます的な和洋風の……空き家だったのかな……目隠し外されてキョロキョロしてみたら、窓ぜーんぶ雨戸しまってるし。
モノ少なっ。
生活感どこ行った?
ぼろっちいけど妙に雰囲気あるっていうか。
マンガとかゲームに出てきそーな殺害現場っていうか……なにそれこわっ、余計なこと考えるのやめよ!
「ほんとコレってどゆこと?」
和服とメイド服がコラボしたみたいな、黒白ボーダーのニーソで絶対領域まばゆい激ミニ衣装のコスプレをビリビリ引き裂かれちゃった俺は。
黒スーツにネクタイ締めた、顔に狐のお面をつけた狐党員のおにいさん方に男だってバレて。
「説明ぷりーず」
「とりま服脱いでぷりーず」
「ぬーげぬーげぬーげぬーげ」
あほえろ大学生サークルみたいなかる~いノリでからかわれて、半泣き状態になってたところへ。
「楽しそうなことしてんじゃねぇか、お前等」
それまでだるだるえろあほだった三人の狐党員に緊張が走った。
同じ狐面にスーツだけど、オーラが明らかに他と違う、ボスキャラ臭プンっプンな男がいつの間に後ろのイスに座って見物していた。
「あわわ、緒方 サン」
「そいつは……佐藤……か。ナニがついてるように見えんのは気のせいか」
「それが男だったんですよ、こいつ」
「……へぇ」
「珍しく隙だらけだったんでついつい拉致ってみれば、衝撃の事実判明っす」
「びっくりですよねー、前、どさくさに紛れておっぱい揉んだ気したんですけどねー」
「俺も!俺も!揉んだ!」
緒方って呼ばれた男はふいっと顎をしゃくってみせた。
すると三人は速やかにだだっ広いリビングから退出していった。
なんか陵辱モノAVの表表紙みたいな格好で残された俺はツカツカやってきた緒方をビビり気味に見上げた。
「あ、あの……っ」
逃がしてください、佐藤じゃないんです、替え玉なんです、本物は綺麗な海の見える病院のベッドで寝てるそーです。
頭の中にそういった言い訳が浮かんではきた。
ぜんっぜん口から出てこねー。
ネットやテレビのニュースでしか見たことなかった狐党のボスキャラ目の前にして、パない迫力に完全呑まれちゃいました。
「続き、始めるか、佐藤」
え????
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