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ボンヤリ緑川を見てたら、アラームが鳴った
ピピピピ……
緑川はムクッと起きてアラームをとめた
「ふぁ〜すげー寝た。もう、こんな時間か」
「……」
「なぁ。お前、甘いの食べれる?」
甘いの、すげー好き!
「まぁ……」
「ホットケーキとフレンチトースト、どっちが……」
「フレンチトースト!!」
………あ、しまった
好物に吊られた
「……くくっ。了解」
くそ……笑ってやがる
「今のうちに着替えといてくれ。
俺、この後、予定あるんだ」
「……………」
「寂しそうな顔するなよ。
知り合いの結婚式行くだけ」
「してねーし!」
「もともと、お前が着てたスーツは、
あそこに掛かってる。
ラフな服で帰りたきゃ、貸してやる。
棚の中から、適当に出していい」
昨日、シワクチャにしたはずなのに、スーツに手をかけるとピシッとアイロンがかかってる
飲み屋に行ったからタバコとかの匂いがするはずなのに、ファブ□ーズか、何かの爽やかな香り……
ワイシャツからは洗剤のいい匂い
いつの間に洗濯してくれたんだ
こっちもアイロンがきちんとかかってる
……何者?
着替えてリビングに行くと、フレンチトーストが出来たようだ
甘い匂いがリビングに広がる
こんがり焼けたフレンチトーストの横には、
ホイップクリーム、いちご、ブルーベリー、
皿にはチョコレートで模様が書いてあった
「う、旨そう………」
つい、本音がこぼれる
………ここはカフェか!
「どう?」
「お、美味しい……」
パクパクとあっという間に平らげた
「完食かよ。くす」
「……ご馳走さまでした」
コーヒーを飲みながら新聞を読む緑川は、昨日とは別人だった
なんで、あんな事したんだろう
二重人格?
別人?双子?そんな訳ねーか
とりあえず写真のデータを消すか、アイツの弱みを握るまでは、どうせ逃げられないんだから……
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