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「車検に出してるから、今日は車ないんだよ。 お前、歩ける?タクシーつかまえようか?」 「いっぱい寝たから平気。電車で行く」 「大丈夫かよ……」 フラフラしてると腰を抱かれた 「外だから……」 「……フラフラしてるくせに……黙ってろ」 結構、早めに出たのにゆっくりしか歩けなくてラッシュと重なってしまった 「……満員だな」 ドドド……と人が乗り込む 環と向き合って抱きついてるみたいな格好になってしまう 「お前、離れろよ」 「満員なんだ。無理言うな」 ガタガタ揺れ、環にぶつかってしまった 環は腰に手を回して抱きしめてきた 「何やってんだ!」 小さい声で注意すると、 「満員だし、誰も気づいてないよ」 と環は耳元で囁いた 環の心臓の音がする 環のスーツ良い匂いするな 俺も環からスーツ借りたから同じ匂いする なんてことを考えてら、カァーッと頬が熱くなってしまった 多分、赤くなってる まずい…… 一人で赤くなるとか…… 環に気付かれたら、どんな事、言われるか そっと見ると環は腰を引き寄せて密着してきた あ、当たってる……! 環は足を絡ませ、押し付けてきた ば、ばか!!電車の中で何してやがる!! グイグイと刺激されるけど、腰を押さえられてるし、満員で身動きが取れない やめろ!こんな場所で阿呆か! ジタバタしてると…… 「動くとバレるぞ。絶対に声も出すな」 耳打ちされてから、環はズボンの上から俺のに触ってきた う、嘘だろ…… 環はニヤニヤしながら俺を見てる サワサワとやらしい手つきに体が震える くそ…… やめろ!俺に触るな! 無言で耐える俺に環の意地悪は増々加速した

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