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風呂から戻ると、碧がパッと向きを変えた 泣いてる…… 「……泣いてんの?何、痛かった?」 碧は目に大粒の涙をためてた 下を向くと涙がこぼれて、布団を濡らす 「泣いてない……」 震える声に、そっと涙を拭う姿に、ズキッと胸が痛む さっきまであんなに腹が立ってたのに…… 碧の涙で一気に毒気を抜かれる 「碧……」 酷かったよな くだらないヤキモチと独占欲 俺達の間には信頼も約束も何もない 自分のことは棚に上げて、碧に求めすぎてた ……でも許せなかった お前が好きだから………… 「なんで泣いてるの? そんなにおもちゃが嫌だった?」 「……」 涙目の碧と目が合ってクラッとする お前はなんでこんなに可愛いんだ 「碧?」 「……お前が冷たいからだろ」 …………なんて? 俺が冷たいから? 冷たいからなんで泣くんだよ 「俺が冷たかったから泣いてたの?」 「うるせーな。悪いか!」 意味は全然、分からない。でも…… 「おいで」 「行くか!」 泣きながら悪態をつく碧に近づく 「しょーがねーな」 「…………」 そっと抱きしめると碧は全く抵抗しない もー。なんなの、コレ…… 可愛いすぎるんだけど………… 頭を撫でたら、また碧はウルウルしてる お前は俺をどうしたいんだ…… 涙目の碧に振り回されながら、優しく抱きしめた 「碧、キスしよう」 「……」 涙に濡れた頬を拭う キスを何度も何度も繰り返すと、碧はため息をもらした キスに酔う碧の頬は赤く染まってて、俺はそれをどうしようもない気持ちで見つめていた

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