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碧はものすごく仕事を張り切って定時には切り上げて帰っていった …………そんなに実家、楽しみだったのか? しばらく帰ってないって言ってたけど…… バーのあるホテルへ着いた 碧と別行動はやっぱり変な感じ 最近、毎日、一緒にいるもんな………… ホテルのラウンジを通り抜けて、エレベーターに乗り込む ガラス張りのエレベーターからは夜景がよく見えた ここのバーは夜景が綺麗なんだよな いつか碧を連れて来てあげよう………… 碧が見たら、なんて言うかな 『すげー!綺麗だな。環!』とかかな? ふ……と一人で笑ってしまう 最近、何をしてても碧のことばかり考えてる 一緒にいる時も いない時も そんな事を考えながら、Barの扉を開けた 「おー!環くん。久し振り」 「…………ご無沙汰してます」 バーのマスターに挨拶してメニューを開く 「何飲む?」 「お勧めで……」 カウンターで少し待つと赤いカクテルを持ってきてくれた 「フランボワーズソーダーだよ」 「……俺の事、口説きたいんですか?」 「え?」 「誘惑でしょう?このカクテルの意味」 「あ、あははっ。詳しいね。環くん? 仕事で、疲れてるだろうから甘いのに したんだけど…… ……口説かれたかったんだ。悪い子だね」 意味ありげに見つめられる 「誘いには乗りませんよ。 俺、そういうの、やめたんです…………」 「本命の子ができると違うね 今度、連れておいでよ! あのワンナイト常習犯の環くんを 本気にさせた子、見てみたい」 「俺、犯人ですか?」 「大学の時は毎回、見る度に相手が違ったよね。その割には全然、揉めたりしてなかったけど」 懐かしい あの頃は恋愛には全く期待してなかったし、本気になるのもなられるのも面倒で、まともな付き合いはしてなかったな 「昔の話ですよ……… いつか連れてきますね」 「マスター!」他のお客さんが声をかける 「はい。……じゃ、また後で」 女の子達が近づいて来た 「一緒に飲みませんか?」 「ごめんね。待ち合わせしてるんだ」 声かけてきてくれたのはすごく可愛い子と綺麗な人だけど、全然興味ない …………俺の心は碧だけのもの 「ごめん。遅れて」 声をかけられて顔を上げた

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