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第3話
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俺達が住むこの世界では…長い年月をかけて環境変化や様々な要因によって人の生殖機能が衰え……受胎出来る母体の減少が続き、急激に進んだ出生率の低下による人口減少問題が国家問題へ発展して……。
国は苦肉の策として人工的な母胎の確保を余儀なくされて。各研究機関で造り上げられた人工母体から産まれた個体をヒューム。人の母胎から産まれ、本来正常な生殖機能を有する個体をナチュラルと呼ぶ世界。
そのナチュラルもヒュームとナチュラルの混血が進んで、数が減り……種の危機による自然の摂理か、、、男性でも受胎可能な個体が産まれるようになってきた。
そう、それが俺。ナチュラルの両親から産まれた性別は男だけど…どうやら卵巣と子宮も備わってるRナチュラルと言われる国が今一番欲しがっている研究人材として需要の高い人間らしいんだ。
だから……故郷アークスを出て遥々遠いヴィダリア王国までやってきたってわけ。
俺の家はお世辞でも裕福とは言い難く……
兄弟も多い為に、国からの補助金が出る研究人材としてヴィダリア王国へ行く事は有難い限りで。それでも両親は俺の意見を尊重してくれて、行くか行かないかは自分で決めさせてくれたんだ。
でも……。
Rナチュラルの俺が出来る事なんて。
よく考えたら答えは1つしか無いこと……。
驚く程冷静に決めることが出来たんだ。
俺の国アークスでは成人は15歳。
その15歳の誕生日を家族と地域の集落の皆にお祝いして貰って。
その次の日にヴィダリア王国へ向け長い船旅に出発することになったんだ。
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