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第45話
「レキと何話してたの?」
カラちゃんが俺の服の袖を引っ張る。
「う、んちょっと……。」
なんとなく言いづらくて口ごもる。
金色のくるくるの長い髪を揺らして小首をかしげつつ、じぃいーっと俺の顔色を観察してからフゥとため息をついてまるで審判者の様に少女はゆっくりと目を伏せる。
「ふーん まぁいいわ!それより髪!!結うからこっち向いて!」
突っ込まれないか内心ヒヤヒヤしてたからちょっと安堵。カラちゃんにバレないように後ろを向いてから胸を撫で下ろす。
「蒼の部屋の子達は、二人とも髪が短いから楽しくない~!やっぱりあたしのお客様さんは虹しかいないわねっ。もう数日髪触って無いだけで禁断症状なのよ!」
ってやけに軽快に言うもんだからちょっと面白くて笑っちゃった。やっぱりカラちゃんと居るとティアといる時の様に穏やかな気持ちになるから不思議。たまにドキッとする様な事言うのも一緒だ。
「何〜!?何笑ってるの!」
そう言いながらもカラちゃんは手を止めない。髪を触るのがほんとに好きなんだろうな。
「あ、そうだ!こないだ俺、途中で寝ちゃってごめんね!すっごい可愛い髪型にしてくれてありがとう。」
可愛い、、だなんて自分で言うのはどうかとも思ったんだけど、ティアも褒めてくれてたしここは素直にお礼を言いたい。
「いーえ!どういたしまして!あたしも直ぐに帰って寝ちゃったから大丈夫!」
ふふって後ろで笑ってるカラちゃんの顔が容易に想像出来た。
それからはカラちゃんの独擅場で、髪の結い方のあれこれや、ずっと練習に使ってたっていうお人形の話、はたまた博士のくるくるの髪で練習したら絡まっちゃって大変な事になった話なんかを聞いて、俺も久しぶりに声を出して笑った気がする。
笑ったらなんだか元気が出てきて。
今晩はティアにちゃんと話を聞いてみようって前向きに思えた。
小さな美容師さんに感謝だな。
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