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第44話
「おう 好きだぜ?」
いきなりな質問に嫌な顔ひとつせず肯定で返ってくる。
「そっか。」
まだ、会って数日の蒼の部屋の二人。好きって言い切れる潔さに、レキの人柄が滲み出てる気がした。
「青海がどうかしたのか?」
うううんって首だけ振って答える。
「あ~ティアとケンカでもしたか?」
思ってたんだけどなかなかレキって見かけによらず鋭い……。
「……。ケンカ……じゃないけど……。」
声が尻すぼみになっていく俺の表情を覗き込むようにレキが近寄る。意を決して俺は打ち明ける。
「……何だか避けられてる気がして……。」
「避けられてるってのは言い過ぎだけど、その……。一緒に寝てくれないって言うか……。」
下を向いたまま答えて、沈黙が耐えられなくなっておずおずと顔を上げるとレキの深い緑の目と目が合う。
レキは何か考え込んだ素振りをしてから一度目を大きく見開いて、
「あ〜!」
ってちょっと困った声色で、自身の茶色い短髪を褐色の大きな手で掻きむしった。
両手を芝生に付けて足を投げ出して座り、天に顔を向ける。眩しさに目を細めるレキの一挙一動を膝を抱えて見守る俺。
「多分あれだよな。虹んとこまだだっけ??」
「……俺の口から言っていいのかちょっとわかんねーからさ。さっきみたいに虹がティアに聞いた方がいい。」
珍しく歯切れの悪い返答を返してくるレキに、きっと他人にも分かる何か理由があるんだろうと漠然と読み取れて、少し気持ちが楽になった気がした。
レキにわかって俺に分からない理由……?考えてみても全然わからないけど…
「……う、うん、わかった。ありがとう。」
とりあえず、返事をしてみた。
「あ!!虹っ やっぱりここに居たのね!」
お礼を言い終わると同時にパタパタと軽快な足音と共に甲高い女の子の声がかぶさってきた。
「あ、レキも!こんにちは!」
「おっす!おチビちゃん!んじゃ、俺、そろそろ行くわ!二人ともまたな!」
頑張れよ!ってニカッと笑って俺の肩を叩いて行った。レキは軽く叩いたつもりなんだろうけど…結構痛い……。
豪快で本能的だけど勘の良さとか思い遣りもあったり……とにかく明るい人だな……レキは。なんてこと思いつつ走っていく後ろ姿を見つめながら叩かれた肩を撫ぜた。
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