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第43話

…… 改めてティアと二人きりになると、ちょっと緊張する。どうしても今朝の情景が浮かんじゃうし、恥ずかしいし、少し不安もある。 ──────── そんな俺の葛藤は杞憂に終わる事になる。 逆に……違う心配が出てきた。 そう……もう昨日で三日。 ティアが俺と一緒に寝室で寝なくなった。 って言うのは、ティアが遅くまで次の仕事の為に勉強をしているから。そのままリビングのソファーで朝まで寝ているそう。朝だって俺の方が起きるの遅いから……ティアの寝顔も見ていない。 仕事なら仕方ない。 俺だって、もう子供じゃないしティアの仕事だって理解してるつもり……。先生大変だもんね。 でも、それだけ、ならまだしも。 なんか俺に過剰なほどのスキンシップをとっていたティアが全然、触ってくれなくなった……気がする……。正確には触れてはくれるんだ。夜のお風呂上がりの俺の髪のお世話は相変わらずしてくれてるし……優しくぽんぽんって頭だって撫でてくれる。 でも、なんか、その……抱きしめてくれたりとか……キスとか、そういう直接お互いの体温が感じられる触れ合いを避けられている気がすることに気付いちゃった。 何でかな……俺、ティアに何かしちゃったんだろうか? ──── 思わず考え込んでいると、後ろから両肩をぽんって軽く叩かれた。 「あ、レキ……。」 「よっ!」 お気に入りの中庭の芝生の上で真っ直ぐ両足を投げ出し座り込んでいる俺を上から覗き込むレキ。 レキで太陽は隠れているけどはみ出す陽の光がちょっと眩しい。逆光なのにレキのニカッと笑った白い歯が目立つ。 「どーした?深刻な顔して?悩みでもあんのか?」 ドサッと俺の隣に胡座をかいて座り込む、褐色の肌の体躯は筋肉質で大柄だけどよく見ると顔つきは精悍ながら綺麗なパーツ配置の中に光る力強い深い緑色の瞳 。 男らしいってこういう人の事言うんだろうな。 俺はとうの昔に男らしさは諦めているのに羨ましいって思わずにはいられないな…。 「レキは、青海の事好き?」

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