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第48話

「……虹。」 じっとマゼンタの瞳が俺を見据える。深くて吸い込まれそうになる……。 「ティア……。」 どうしたらいいのか……どうしたら伝わるのか、分からず……俺は自らの寝着の重なった襟元を引っ張って広げ、ティアの手を取る。 「……虹……本当に今は、ダメ、だよ……」 俺は無言で、浅く息を吐きじっと耐える様子のパートナーの手を自分の胸に当てる。 触れた瞬間ビクンとティアの身体が揺れた。 「……どんなこと しちゃうか…わかんないよ……?」 「平気。ティアがいい。ティアに触れて欲しい。」 まだ、躊躇している優しいパートナーに俺はありったけの勇気を振り絞って、自分からキスを…… ゆっくりと……唇と唇が触れ合う。 意識が全部唇に集中する。 触れるだけの優しい口付けだったけど、久しぶりにティアに深く触れられて幸せになる。 そして、発情期のパートナーへ火付けとしても充分だった、と後で思い知ることになった。 「……泣いても……やめてあげられない……かもしれないからね……?」 俺は、ゆっくり首を縦に降る。 そっと顔を離し、お互いの近い距離はそのままでベッドに組み敷かれる。 至近距離で見るティアの瞳が輝度を増す。 浅い呼吸から、少し荒いものに変わっていく。 興奮してる……。 そう判別出来るくらいの余裕がこの時はまだ俺にもあって…… いつも俺よりも少し低い体温のティアが熱い。ねっとりと絡ませられる舌と舌の感触も心地いい。 呼吸が苦しくなるようなキスをしたのは、パートナーの儀式をした時以来……かもしれない……。 顔の角度を変えて徐々に荒っぽさが交じる口付けに変わると同時に、俺の身体もドクドクと音をたててるんじゃないかってくらい熱くて……騒がしくなってきた。

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