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「積極的なのは」
「慎吾」
名を呼べば、静かに振り向く慎吾にそっと口付ける。
「河西さん…?」
「慎吾…好きだよ」
頬に触れながらそう言えば、慎吾の眼差しも変わる。
「河西さん…俺も、好きです」
心地いい。
慎吾のその言葉は。
「慎吾…」
名を呼び、もう一度口付ける。
そこに慎吾の舌が口内に攻め入ってくるのを受け入れ、自らそれを吸い上げる。
夢中で求め合っていれば、酸素が足りずに息が上がる。
それでもー。
「は、河西さん…」
長いようで短い深い口付けを終え、慎吾の舌は鎖骨を這う。
「んや、は…」
思わず漏れた声に驚き、口を噤む。
「河西さん…鎖骨弱いんですか?」
言いながら慎吾の右手が股間に触れる。
「待っ…!それは、早いよ…慎吾…」
恋愛経験の浅い慎吾は、セックスに関しても知識が浅い。
「慎吾、こっち来て」
慎吾の右腕を掴んでソファまで歩き、慎吾をそこに押し倒す。
「っ…河西さん…?」
「じっとしてて…」
言って、歯でジーンズのファスナーを開け、そのままの勢いで慎吾のモノを口に含む。
慎吾の体が大きく揺れるのがわかった。
「っ、河西さんっ…!」
「ん、大きいね…」
口内に存在するそれが硬度を増していくのがわかる。
慎吾から漏れる切羽詰まった声に全身の熱が集まるのを感じた。
「ね、河西さんっ…」
「っ、きもちい?」
上目遣いで慎吾を見つめれば、快楽に歪む表情が視界に入り、胸がいっぱいになる。
「うん、気持ちいい…河西さん、ね、もういいから…っ、」
頭に力なく触れられ、静止を求められるが、その感覚すら気持ちが良いために止められない。
「河西さんってば…!」
無理矢理に口を離されては少し不満に思い、黙って慎吾を見つめる。
「すみません…出ちゃうかと思って…」
「出せばよかったじゃない」
「………河西さんの中で…」
口淀む慎吾の言わんとしていることを理解し、テーブルの下に置いてある潤滑剤を手に取る。
「待ってて」
言って、自身で後ろを慣らすべく潤滑剤を馴染ませてから指を挿入する。
「ぅ、は…」
慎吾のゴクリと生唾を飲む音が耳を刺激し、快感を煽られる。
「も、いいですか?」
「え、ちょ、まって…!まだ…」
しっかりと慣らす前に痺れを切らしたらしい慎吾に腰を捕まれ、反り勃ったそれを後孔にあてがわれる。
静止の声をかけたが聞く耳を持たない慎吾は、勢いに任せて突き入れてきた。
その異物感が気持ち悪さが勝るかと思いきや、それが慎吾のものであるとわかっている以上、受け入れることの喜びしかない。
「あ、っ…しん、ごっ…」
下にいる慎吾に抱きつき、全てを受け入れられたことの幸せに浸る。
「っふ、河西さん…すみません…俺…」
「いいよ…慎吾、愛してる…」
そう告げて口付ければ、慎吾が揺さぶりをかけてくるため「んふぁ、」と快楽に満ちた声を漏らしてしまう。
「しんご、しんごっ…!すき…あ、」
「っ…康太さんっ…!」
思いのままに打ち付けられる慎吾のそれを、ただ強く締め付けることで深く求めた。
「はぁ、慎吾っ…!あっ…」
ほしい、慎吾が。もっとほしい。
そう願えば願うだけ絶頂が近づき、中で慎吾のものが弾けた感覚にすら快楽を感じてしまうのはいつものことだった。
「河西さん…」
「ん…?なに?」
事が終わり、ソファにふたりでなだれ込んでいる今、慎吾の申し訳なさそうな声が響く。
「ごめんなさい…いろいろ…」
「ふふ、なんで?誘ったのは俺だよ?」
「それでも!最後までしたいって言ったのは俺です」
「何か悪いの?俺だってそのつもりだったけど」
「………でも…」
納得がいかない、といった顔をする慎吾に、可愛いなぁ、と思いながら髪の毛を撫でる。
「いいんだよ。俺が慎吾に抱かれたかったんだから」
微笑みながらそう言うと、慎吾の頬は高潮した。
「そ…ですか…」
「さ、お風呂一緒に入ろうか。明日も仕事だからね」
そう言って立ち上がり、慎吾の腕を引きながら風呂場に向かって歩く。
「背中、流させてください」
「うん、お願いしようかな」
少しだけ笑いながら言って、こんな日々が続くなら、慎吾との恋を信じてもいいかもしれない、と強く思った。
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