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慣れてはいるはず。

「悠弥さん」 名前を呼んでも悠弥さんはギターを手放さない。 ギターを弾いている悠弥さんは好きだが、今は俺といるのだから相手をしてほしい。 「悠弥さん」 もう一度呼ぶが、やはり反応はない。 黙って悠弥さんの背後に寄り、首筋に口付ける。 「っー!」 悠弥さんの体が大きく揺れ、漸くギターの音が止まり、こちらを見る。 その目は俺を睨みつけており、怒っていることが見てとれた。 「圭斗、お前…!」 「悠弥さんがギターばっかり相手するから」 「それは…悪かったけど…」 拗ねたように言えば、悠弥さんは少し俯いた。 悠弥さんに両腕を回し抱きしめれば、体が固くなるのが伝わってくる。 この人はいつまで経っても慣れない。 そこが可愛いのだが。 回した腕に力を込めつつ、首筋をねっとりと舐めあげれば、ぴくりと反応を示す悠弥さんが愛しい。 「圭斗…、」 漸くギターを手放した悠弥さんの腕を、つ、となぞれば、息を詰める音が聞こえてきた。 「圭斗…!なに、ここで…?」 恥ずかしそうに問うてくる悠弥さんは、「何を」とは明言しなかったが、これから俺がしたいと思っていることを理解できているようだ。 確かにここはベッドではない。 ベッドならば文句はないのだろうか。 「わっ…!」 黙って悠弥さんを抱きあげれば、驚く声を他所に寝室まで連れて行きベッドへと下ろす。 「っ…圭斗…」 不安そうに見つめてくる悠弥さんの唇を奪い、食むように何度も角度を変える。 「…、ん」 熱を隠しきれない悠弥さんの声が心地よく、ゆっくりと悠弥さんをベッドへと横たえる。 舌を絡め取り、深く悠弥さんの口内を貪る。 「んぅ…」 鼻にかかった声を漏らしながら俺の背中へと腕を回す悠弥さんに満足し、口付けたまま服のボタンをひとつずつ外していく。 「悠弥さん…」 唇を離し、舌先で胸の突起を舐めあげれば「は、」と息を吐き出す音が耳に入る。 左手で反対をいじれば、身じろぎするその姿が可愛らしく、思わず肌に吸い付き花弁を散らす。 「った…」 少し痛がる悠弥さんの唇に再び口付け、ジーンズに手をかける。 瞬間、弾かれたように腰を引き、泣きそうな瞳で見つめてくる。 「…いいだろ」 言って一気にジーンズを下ろし、下着の上から股間に緩く触れる。 「は、けいと…」 息の上がった悠弥さんに気を良くし、性急に下着まで脱がせては直に触れる。 恥ずかしそうに両手で顔を隠す悠弥さんを見つめる。 「隠すなよ、悠弥さん」 そう言えば、悠弥さんは頭を左右に振る。 恥ずかしがり屋な部分が好きではあるが、やはり気持ちよさそうな表情は見たい。 「悠弥さん」 呼びながら腕を掴んでは、無理に悠弥さんの顔を見つめる。 合わせた顔は紅潮し、素直に快感を受け入れられずにいるように見えた。 静かに手のひらで竿を上下させ、少しずつ質量を増すそれがびくつくのを楽しむ。 「んはっ…け、と…あ…」 小さな嬌声が愛らしく、絶頂を迎えそうな悠弥さんを更に追い詰めるべく、少し速度を上げれば、詰めた息を零して白濁を散らした。 「は、はぁ…けいと…」 欲を孕んだ目で見つめられれば、腰に熱が溜まるのがわかる。 悠弥さんが吐き出した白濁を指で絡めとり、ゆっくりと後ろの蕾へと挿入する。 「んっ…!」 耐えるような声ですら、興奮材料でしかない。 幾度となく俺自身を咥えこんだそこは、あまり慣らさずとも柔らかく、俺で変わった悠弥さんが愛おしくてたまらない。 「悠弥さん、ほしい?」 「ーっ…!」 耳元で囁きながら問えば、悠弥さんは言葉にならない吐息を吐く。 「なぁ、悠弥さんから聞きたい」 「っ、わ、かってるだろ…!」 恥ずかしそうに言葉を紡ぐ悠弥さんを眺めながら、指を少しずつ増やす。 「んや、けい…と…」 「ほら、言って」 促しながら悦いところをわざと外して刺激すれば、観念したかのように言葉を漏らした。 「ほ、しい…けいと…」 か細いその声は何よりも愛らしく、己の滾ったモノをあてがえば勢いよく奥まで突く。 「ぁあっ…!」 甲高い悠弥さんの嬌声を聞いて腰をゆるゆると動かせば、悠弥さんの口からはだらしなくも愛しい声のみが零れた。 悠弥さんの中は心地よく、思いのままに突き動かすが、時折悠弥さんの反応を楽しむために動きを止める。 「悠弥さん、好きだ」 そう呟けば、中が締め付けられる感覚を覚える。 可愛い。 俺のものだ。 「っ、悠弥さん…!」 胸がきゅっと切なくなったところで、悠弥さんの中で果てる。 悠弥さんもそれと同時に、2度目の射精を迎えた。 「悠弥さん…中に出して…ごめん」 正座をして悠弥さんに謝罪するも、悠弥さんはこちらを見向きもしない。 「ゴムしろよバカ!」 と、先程怒鳴られたばかりだ。 「悠弥さん…」 触れることも許されないような空気に、一気に後悔の念が押し寄せる。 「………次からは…気をつけろよ」 掠れた、小さな声でそう聞こえ、恋人なのだから当然ではあるが、『次』があることに安心した。 「わかった。ごめん。…愛してる」 「うるさいんだよ!!」 勢いよくこちらを見たかと思えばこの暴言。 素直ではない悠弥さんの照れ隠し。 それすら愛しいと感じてしまうのは、惚れているからだろうな、と、少し笑ってしまった。

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