18 / 18
第18話
「日和?どうかした?」
芹沢がこちらを覗き込んでくる。
「いや、俺は、芹沢と同室でよかったなあって思ってたから」
「俺もだよ」
日和の言葉に、芹沢がにっこりと微笑んだ。日和はほっと気持ちが軽くなる。
「仲良いなー」
階段を登りきった佐竹にしみじみ言われて、日和は顔が熱くなる。
「俺も同室と仲良くなれればいーな。あ、313、ここだ」
部屋の前に荷物を置いて、佐竹が深々とお辞儀をする。
「荷物ありがとう。これからよろしくね」
「こちらこそ」
日和と芹沢も頷いて、隣の自室に戻ろうとする。と、佐竹の部屋がゆっくりと開いた。ドアの前にいた佐竹がおっと飛び退く。
「あー、同室の人?」
ドアからひょこっと顔を出したのは、目立った風貌の小柄な青年だ。金髪に碧眼で、ハーフなのだろうか。流暢な日本語に違和感がある。円らな瞳が、日和たちの方を向いた。
「君たちは?」
「荷物が多かったから、運んでもらってたんだ」
「小春日和です。こっちは芹沢薺。」
「俺は佐竹瞬。君は?」
「僕は甲賀リオン」
「リオンはハーフなのか?」
芹沢が聞くと、リオンは頷いた。
「うん。イギリスと日本のハーフ。でも、こんな風貌でもずっと日本にいるから、英語も喋れないんだよね」
やれやれ、といった感じでリオンは肩をすくめ、佐竹を部屋の中へ招き入れた。
「これからよろしくね」
リオンと佐竹に軽く手を振り、芹沢と日和は自室に戻った。
ともだちにシェアしよう!