17 / 18
第17話
振り返ると、同じグリーンタイの生徒だった。大きなスーツケースを持っていて、少し不安そうな顔をしている。
「君たち1年だよね?昨日から来てるの?」
「うん、そうだよ。君は今日から?」
日和が笑顔で返すと、少し安心したようだ。
「俺は小春日和。こっちは芹沢薺。君は?」
「俺は佐竹瞬だよ。途中まで一緒に行っていい?」
「1年は三階なんだ。そっちの荷物持とうか」
芹沢が佐竹が肩にかけていたバッグを持ってやる。相変わらず優しい。
「あ、ありがとう!俺、北海道から来たんだけど、一人で移動とか初めてで、すごく緊張して」
「わかるよ。俺も昨日京都から来たんだ。小春は東京なんだけど」
「やっぱり地方組が多いのかな」
佐竹の鍵を見ると、313号室で、日和たちの隣の部屋だった。まだ同室の人は見つかっていないらしい。
「でも、9人って言ってたし、一人の部屋もあるのかな?」
「2年生で1人いたから、1年はみんな二人部屋なんじゃないかな」
芹沢が答える。日和はさっきの金髪の先輩を頭に浮かべ、頷いた。
佐竹はスーツケースを抱き抱えて必死に階段を登っている。三階まで階段で登るのは、少し大変そうだ。
「けっこう部屋も余ってるんだし、1人でもいいのにね」
「確かにな」
芹沢が佐竹の言葉に同意するので、不安が過る。日和と同室で面倒くさいとか思われていたら、どうしよう。
ともだちにシェアしよう!