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放課後、教室の扉を開けた僕はその場で凍りついた。 「あ……」 二人の同級生が窓辺に立ってこちらを向いていた。 前にいた女子生徒は慌てて俯き、その長い髪で自分の顔を隠した。 だが後ろの男子生徒はセーラー服の内側に滑り込ませた両手の位置を変えようとしないで、微動もせずに。 僕をじっと見据えてきた。 深みのある鋭い目をしていた。 心の底から束縛されるような、こちらを圧倒させる猛禽類じみた目つき……。 我に返った僕は自分の席からバッグを引っ掴んで教室を飛び出した。 動悸が体中に響いて苦しい。 驚きと興奮で顔は火照り、耳まで熱くなっていた。 びっくりした……。 三階から一階まで一気に駆け下りた僕は足取りを緩め、生徒用玄関までの距離を猫背になって歩いた。 どの窓も開け放しにされた校内は静まり返っている。 一時間前の喧騒が嘘のように引いていた。 美化委員の集会が長引き、荷物を持ってきていなかった僕は部活動へ直行するクラスメートと別れて一人教室に戻った。 誰かが残っているだろうとは予想していたが。 まさか、あんな場面に遭遇するとは思ってもみなかった。 あいつ、深山木だ。 どこの中学だったか誰も知らない噂の同級生。 まともに顔を見たのは初めてだった。 あいつ、あんな目をしていたのか。 深山木の両手の位置を思い出した僕は額の汗を拭った。逆上せた頭を振って敷板に降り立ち、革靴に履き替えようと腰を屈める。 静寂を破る不躾な足音につい手を止めた。 「なぁ」

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