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それから⑥
side:黒曜
銀波を連れ輝と結婚して、銀河、黒檀、と三人の男の子の父親になった。
『作品に深みが出てきた』と評されるようになった俺は、いろんな受賞作品の常連となり、それなりに慌ただしい日を送っている。
家族を守るためにも、適度にマスコミに顔を出して話題を提供している。
そのお陰か、人狼の情報操作のお陰か、変にプライベートを詮索されることも、今は…ない。
輝はヤンチャな子供達に手を焼きつつも、俺の手綱をしっかりと引き絞り、愛くるしさは昔のままの立派な母親になった。
子供達から手が離れる頃、復職を考えていたが、俺が体調を崩して入院したり、輝のおばあちゃんが病気で亡くなったりと、いろんなことが重なって考えた結果、専業主夫になった。
「俺、不器用だからその方が良かったかも。」
そう言って笑う輝を俺は相変わらず溺愛して、時々嫌がられている。
年を重ねて尚のこと、ボディコミュニケーションを恥ずかしがる輝を今日もまた抱きしめ、キスをする。
子供達の前でも堂々と。
「あーあ…また始まったよー、黒曜のラブラブタイム!」
「もう、目の毒だから、あっちでやってよ、あっちで!」
「いいなぁ…俺だって、いつか会える番と…」
「ふふん。羨ましいだろう。いつまでも俺達は新婚気分なんだ。
早く大人になって、番とイチャイチャしろよな。」
俺の腕の中から抜け出そうとする輝をぎゅうぎゅうに抱きしめ、子供達を揶揄っている。
輝は真っ赤になり『離してー』『止めてー』なんて言いながら、弱々しく抵抗している。
知ってるよ。
本気で嫌がってないもんな。
子供達の前だから、一応そうしなきゃな。
唇を尖らす輝があまりにもかわいくて、キスしてやった。
何年後かには子供達は次々巣立って行く。
輝…ずっと愛し合って穏やかな日々を過ごそう。
晴れた日も雨の日も嵐の日も。
いつだって君にくちづけを送るよ。
命の燃え尽きる、その時まで。
輝…愛してるよ。
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