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第7話
志乃は俺の言葉に納得したように、こくりと頷いた。
俺達は外へ出た。
その瞬間から俺と志乃の関係は仲の良い友達へと変化する。
俺を頼って縋るような目をしていた志乃が一転、クールを装う高校男子へと変身するのだ。
「なぁ健司、あ、じゃなくて、風早」
「何?」
「お前のはどうなんだ?」
「えっ俺の……?」
「俺だって見せたんだから、今度はお前のも見せろよな。俺だけ見せるのは不公平だろう」
「何言ってんだ。勝手に見せてきたのはそっちだろ」
志乃がそんなに下半身事情に興味を持つ日がくるなんて、あまり考えていなかった。
理由は志乃がそういうこととは縁遠い存在だと勝手に思い込んでいたからだ。
志乃の知らない俗世間の性的なことも俺が教えるものなのだろうか?と疑問を持つと同時に喜びも感じる。
「狡い」
志乃はつんと形の良い唇を尖らせて俺を上目遣いで見詰める。
狡いのは志乃の方だ。なんでそんなに可愛いんだ……!
「……分かったよ」
でも、どうなっても知らないからな。
俺は心の中でそう付け足した。
「当たり前だ。俺だけ恥を晒すのは許せないからな」
志乃は無邪気に笑う。
その後この志乃の好奇心が、俺と志乃の仲を一変させる出来事を引き起こすことも知らないで。
─終─
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