2 / 83

プロローグ

俺は朝日奈 遙、どこにでもいる至って普通の大学生。 ひとつ他人と違うことといえば、あまり人に興味を示さないこと。 友人は広く浅くと言えるほど付き合いもしていないし、友人と呼べる者は2人だけ、そいつらは気心の知れた大切な親友だ。 俺は人の名前や顔も覚えるのが苦手で、いつの間にかそれらを覚えなくなった。 今はそれの必要すらないほど何となく暮らしている。 だから、もちろん恋人なんていない。 恋人がいたこともあったが、そこまで深く愛していなかった。 こんな社会不適合者な俺だったが、ある日突然同居人ができた。 小さくて泥だらけで、放っておけない不思議なネコ科の子ども… 1度見たら忘れられない茶色の瞳の少年だ。 これは、そんな小さなネコとの出会いよってお互いを変えてゆく物語である。

ともだちにシェアしよう!