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大学に進学し、今は実家を離れて一人暮らしをしている酒井 利樹 が数ヶ月ぶりに実家を訪れ、バスルームから濡れた髪を拭きながらリビングに足を踏み入れると、そこにはゆったりとソファに腰掛けたまま煙草をふかしている父、総司 の姿があった。目の前に広げた新聞をゆっくりと畳みながら利樹に目を向ける。
一流企業の重役として多忙な日々を過ごしている総司が、早い時間に帰宅している事は珍しい。
歳を重ねてもなお、端正な顔立ちは若い頃の面影を残し、そこに渋さが加わったことで纏う色香もどことなく紳士的だ。
「――お前がここに帰ってくるなんて珍しいな?」
「別に……。母さんから旅行に出かけるって電話貰ったから、放っておけないだろ?」
「学校の方は?」
「ここからでも通えるし……」
何気ない親子の会話。しかし、総司の目は利樹の濡れた項に向けられていた。
煙草を灰皿に押し付け、ゆっくりと立ち上ると利樹との間を縮める。
「――お前は優しいな」
総司の手が引き締まった利樹の腰に回されると、彼は唇を噛んだまま俯いた。
ソープの香りを楽しむかのように耳元に唇を寄せた総司は、低い声で囁いた。
「本当は寂しくて仕方がなかったんだろう?」
「なに言ってんだよ。子供扱いすんなっ」
強気な態度で父親の手を振りほどこうとする利樹の手首をグッと掴まれ、彼は小さく息を呑んだ。
「親子水入らず……とはよく言ったものだな」
耳朶を甘噛みする総司にゾクリと背筋に冷たいものが流れ落ちる。
手にしていたタオルが床に落ちると同時に、耳殻をなぞる様に彼の舌が入り込んできた。
「父さん、やめ……っ」
「この家でお前と眠るのは何年ぶりだろう……。何の遠慮もいらない。二人きりの時間を満喫しようじゃないか」
「俺は、そんなつもりじゃ……」
「素直じゃないね。でもね、お前のココはそれを望んでる」
するりと滑り落ちた大きな手が利樹の股間を撫で上げると、スウェットパンツの上からでもハッキリ分かるほど、そこはすでに昂ぶっていた。
中学生の時、利樹は総司に処女を奪われた。抵抗はした。しかし、まだ成長段階であった体は呆気なく組み敷かれ、彼の熱く滾った熱棒を細い体に受け入れたのだ。激痛と快楽に呑まれ、それからは月に一度――多い時には週に一度というペースで体を重ねていた。
血の繋がった実の父親との関係に不安と憤りを感じながらも、どこにも吐き出せない利樹は、未だに総司に対して完全に心を開けずにいた。
「ちが……う!それは……そんなんじゃないっ」
「じゃあ、体に聞いてみた方が良さそうだな……。ここはもう、十分に解れているんだろう?」
双丘の割れ目に指を食い込ませ、すでに潤んでいるであろうその場所をグイッと押すと、利樹は顎を上向けて溜め込んでいた息を吐いた。
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