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《逃避行 第Ⅱ章》儚き祈り①
この男は、なにを考えているんだ?
日本を落とす、だと?
「そんな事ができる訳ない」
「できるんだよ」
口角を吊り上げた。
「俺が零戦に乗ればな」
「どういう事だ。反乱でも起こす気か」
無理だ。
「お前一人では、どうにもならない。例え同調する者が現れたとしても潰される」
それが今の日本の体制だ。
この国は歪んでいる。
「そうじゃない!」
プロペラ音が空を穿つ。
「勝算はある」
否
「勝算しかない」
眼下に海が踊っている。
「分かるように説明しろ」
事の次第によっては、お前に賛成する。
だが
無理だという結論に至れば、俺はお前を……
(全力で阻む)
どんな手段を用いても、お前を止めるぞ。
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