13 / 24

《逃避行 第Ⅱ章》儚き祈り①

この男は、なにを考えているんだ? 日本を落とす、だと? 「そんな事ができる訳ない」 「できるんだよ」 口角を吊り上げた。 「俺が零戦に乗ればな」 「どういう事だ。反乱でも起こす気か」 無理だ。 「お前一人では、どうにもならない。例え同調する者が現れたとしても潰される」 それが今の日本の体制だ。 この国は歪んでいる。 「そうじゃない!」 プロペラ音が空を穿つ。 「勝算はある」 否 「勝算しかない」 眼下に海が踊っている。 「分かるように説明しろ」 事の次第によっては、お前に賛成する。 だが 無理だという結論に至れば、俺はお前を…… (全力で阻む) どんな手段を用いても、お前を止めるぞ。

ともだちにシェアしよう!