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第10話

つらい中学時代 翔が中学二年の事だった。 翔は恋をした。 相手は一つ上の先輩、それも男だ。二年生になってすぐの頃階段から転がり落ちそうになった所を助けてくれたベターなきっかけ…。 初めは憧れだったけど目が離せなくなり夏休みになって思い切って告白した。 先輩はびっくりしていたけど、にっこり笑ってokしてくれた。 なのに聞いてしまった…先輩が友達に話しているのを。 「馬鹿な二年がいてよ、付き合いませんか?だって!笑えるよな、キモいんだよ!」 「でも付き合ってるんだろソイツと?」 「だって受験勉強ばっかじゃつまらないだろ!暇つぶしだよ!」 そんな会話を笑いながらしているのを聞いた。その時にはもう翔は先輩に抱かれていた…。 自分が惨めになった。 学校も休んで泣いていた。 見舞いに来てくれた親友に思い切って打ち明けたら、登校した時クラスの反応は冷たかった…。 内緒だからと念を押したのに噂になっていた。 恋人と親友を同時に無くしたのだ、よくある話だ。翔が同級生の居ない学校を選んだのはそんな理由からだった。 「僕は榊君が、僕の事を好きだと言ってくれて嬉しかった。 でも僕は榊君が思っているほど純真でも見た目がいいわけでもないんだよ。そんな僕のどこが好きなの? まだ会ったばかりなのに…僕なら自分を選ばない!」 翔はもう最後の方は大声を上げてしまった。 そんな翔を榊はじっと見つめたまま翔の頭を撫でた。 「俺は翔が好きだよ。信じてくれるかわからないけど、初対面じゃないんだよ。中一の時に一度会ってるんだ。」 榊の言葉に翔は驚いた。 「まだ教えない。」と笑っている。翔の髪を梳きながら、 「翔、好きだよ。俺のこと好き?」と翔の顔を覗き込んだ。翔は頷いて、 「好きだよ。」と答えた 榊は翔を優しく抱きしめた。

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