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第6話

「弦、愛しい弦……ッ」 「ふ、ぁ……いしゅ、イシュ、きもちぃ、ッ……あ、ぁあ、も、イく……ッ」 「我も、もう……」  最初は加減してくれていたイシュも、段々と律動が激しくなって、僕が息も絶え絶えに限界を訴えれば、イシュの方も限界が近いらしい。 「あ、ぁぁああああ――」   「くッ――」  より一層、強く奥を穿垂れた瞬間、僕は今日三度目の吐精を迎え、それとほぼ同時に、イシュの屹立から放たれた熱い飛沫を感じながら、僕の意識は途切れた。 「おはようございます」 「ん……あ、おはよう……スーザン」  イシュが仕事に出掛けて行ったのにも、スーザンが入室してきたのにも気付かないほど、寝入っていたらしく、目覚めたのは、スーザンの声でだった。それでも、睡眠だけでは回復しきれなかったらしく、声は少し掠れているし、身体はだる重い。 「無事に魔力が根付いた様ですね。良うございました。王も上機嫌でしたよ」 「何の話……?」 「ご覧になれば一目瞭然かと」 「……ん?」  スーザンにその言葉と共に鏡を差し出された。そこに映ってるのは、いつも通りの僕の顔が映ってるだけーー 「ーーって何これ!?」  目線を鏡に映る自分の顔から少し下げると、左の鎖骨の窪みの部分に黒い薔薇のタトゥーの様なものが浮かんでいた。その薔薇を囲う様にいくつもの鎖が絡まった様な茨が刻まれていて、茨の蔓の一つは首筋を通り、耳の後ろあたりまで伸びていた。 「王を受け入れられた証ですよ。王妃の印です。おめでとうございます、ゲン様」 「ええっ!?」  それってつまり、僕はイシュとエッチしましたよ! って公言してるのと一緒って事!? 何それ、超恥ずかしいんですけど……って、ん? でも待てよ? 王妃の印って言ったよね? 「呼び方も改めねばなりませんね。これからは王妃とお呼びさせて頂きます」  ほらやっぱり王妃って―― 「ねぇ、スーザン。この刺青みたいなのが王妃の印って言ったよね? これが現れる条件ってなんなの? イシュとのエッチした相手全部に現れるなら王妃の印とはならないよね……?」  それだとただの情人の証だよ。魔王は王としては珍しく一夫一妻みたいだし。 「ああ、私の言い方が悪かったですね。閨を共にしたからと言って、証が現れる訳ではございません。逆に言えば、閨を共にせずとも証が現れる場合もあるのですよ。現れる条件は、まず、お互いが相手を生涯の伴侶にと、本心から願っている事。魔力の相性がいい事。そして魔力の循環が成されている事。魔力の循環は接吻でも成されますから。効率は悪いですが」  ――ん? それって、もしかしなくても…… 「イシュに騙された……!」  全然命懸けの操立てじゃないじゃん! 僕から供給してるじゃん! 「どうやら、今晩も王妃は王と話し合いをなさった方がいい様ですね。あとでお伝えしておきましょう」  そう言ったスーザンはニヤリと人の悪い笑みを浮かべていたとか、いないとか。  紆余曲折あったけど、兎に角僕は、魔王妃と言うポジションに納まったみたいです。とりあえずはめでたし、めでたし。なのかな……? まだまだイシュに説明して貰えてない事とか色々あるから、今晩、とっちめないといけないけどね……!  そして、恥ずかしいからと散々拒否したけど、僕が結局ウエディングドレスを着せられて、バージンロードを歩くのはまた別のお話。  誰だ! 向こうの結婚式の事を話したのは!! ってそんなの僕自身しかいないけど!

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