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ある日の休日
「お待たせしてすいませんっ」
ボクの名前は 熊野 五月
五月生まれだから五月って名前
皆からはサッちゃんって呼ばれてる
今日は休日でボクはデートに出掛ける
待ち合わせに少し遅れちゃったけど…
「大丈夫だよ,さぁ,行こうか?」
相手は実は40代のおじさん,
と言っても顔はまだ若い方で性格も割と親しみやすい感じ
ボクは彼の腕に巻き付き顔を見上げてはニッコリと笑う
「今日はどこ行くの?『パパ』」
そう,ボクの休日の過ごし方は『パパ』とのデート
勿論本当のパパじゃなくて知らない人
1回デートに付き合うとお小遣いが貰えるの
世間一般で言う『パパ活』ってやつ
ボクは男だけどそこら辺の女の子より可愛い自信はある
だからいつも女装をしてる
勿論パパ達もそれがいいみたいでいつもボクを誘ってくれる
暇も潰れるし,お小遣いも貰えるし正直物凄く楽しい
まぁ…弟の六月はあまりいい顔しないけど…
「今日はありがとう,楽しかったよ」
『パパ』がボクの頬に口付けをする
パパ活では性的接触は厳禁だから挨拶代わりにこうやって軽いスキンシップを楽しむ人は多い
ボクもチュッと軽く頬に口付けしてあげて「また誘ってね」と甘えてみる
彼は満更でも無さそうな顔をして帰っていった
「さーて,ボクも帰ろうかなぁ」
ボクはグッと背筋を伸ばす
疲れたし帰って矢野の作ったご飯が食べたい
矢野のご飯は絶品なんだよなぁ
そんな事を考えていたらお腹が空いてきちゃった……
ボクはクルッとターンをする様に回っては駅の方を振り向いた
お?
少し先のベンチに見覚えのある人影…
アレは……
ボクは駆け寄っていってひょっこり顔を覗かせてみる
やっぱり!
「あれれ,柳司先輩!」
サークルメンバーの先輩(大学生2年生)の織田 柳司先輩が座っていた
柳司先輩はいっつも1人で居るけど話し掛けたら普通に話してくれるし気も利くし凄く優しいし,ボクは割とこの先輩のことが好きだったりする
「どうしたんですか?先輩が外にいるの初めてみました~」
「そうか?」
ボクが先輩の横に座ると弄っていた携帯を仕舞いボクの方に視線を寄越す
「はい!誰かとお出かけです?」
ボクが首を傾げて問いかけると先輩は素っ気なく「さぁな…」と返してきた
ボクは不思議に思って顔を顰めてしまう
「せんぱ…」
再び先輩の名前を呼ぼうとした時グゥとお腹が鳴ってしまった
ボクは恥ずかしさのあまり咄嗟にお腹を抑える
え、え…恥ずかしい…ボクそんなにお腹空いてたっけ!?
恥ずかしさのあまり動けないでいると先輩がフッと鼻で笑ってくる
更に恥ずかしくなって顔を真っ赤にしてしまう
「俺の家…一人暮らししてる家があるんだけど…良かったら寄ってく?なんなら泊まってもイイけど」
「へ…」
突然のお誘いに俺は目を丸くする
勿論先輩とは仲良いとは勝手だけど思ってる
けど今まで遊びに行ったことも無かったしましてやお泊まりなんて…
でも実はちょっとしてみたい…
「どうする?」
「せ…先輩が良ければ…」
「んじゃ,決まりな」
そう言って先輩は直ぐに立ち上がったのでボクも慌てて立ち上がる
まさかいきなりお泊りすることになるなんて…ッ
楽しみ!
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