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第23話 オータムパーティー ③

『ヒューブ……っ!!』 彼は正式名:セルディック卿ゲーゲンヒューバー。 彼もエディの従兄弟。ゲイブとは戸籍上の兄弟。 なので一応貴族。 アカデミーの元魔術講師。 ”~卿”とか”Mr ~”と、畏まった呼び方を されるのが大っ嫌い。 故、教え子達はみな彼を愛称の”ヒューブ”と呼ぶ。 「ここ、座るぜー? 久しぶりだなぁ、お前ら」 ビールを片手に空いた席に腰を下ろすと、 1人1人を見渡しながら懐かしそうに微笑んだ。 ヒューブは今学期の初めから、国王陛下の とある特別任務に就いているという。 ゆっくり顔を合わせたのは約3ヶ月ぶりだ。 「遅いですよぉ ―― 待ってたんですから!!」 彼はステフの憧れ。 彼が在校してた頃は暇さえあれば、 職員室へ行って、 いつもかまってもらってた。 「ヒューブってば全然変わってないねー」 「相変わらず女に苦労してなさそうなオーラ出てん  ですけど」 「んなことねぇよ。お前らこそちっとも変わってねぇ  じゃねーか。エディは……ん? どうした?   何ボーッとしてんだよ」 「えっ ―― あ……何でもないよ」 ふと我に返ったように顔を上げて、 何でもなかったようにグラスを煽る。 その後、チラッ……と、目が合った ……? ……? 「―― で? 何、和葉を苛めてたんだ?」 もうっ! ヒューブ…… 助かったと思ったのに……っ、 何でまた蒸し返すんですか?? 『えっと、ですね今、現在和葉にとってエディは  恋愛対象か? って話です』 え ―― っ。 そんな話しだったっけ? 「なるほどな」 ヒューブが俺を見る目は 何でも見透かされそうな気がして 何となく……目を逸らしてしまった。 でも一瞬、笑ったような気がしたのは気のせい? で、逸らした視線の先にはエディと…… 元カノ ―― とかいう女子がエディの服を 引っ張る姿。 このタイミングで視界に入るなんて…… 元カノ……か、例の大宣言以降、昔付き合ってた 女子達とはホントに別れたんだと思ってた…… チクン ―― なんか…… 胸の奥が、痛いかも…… 今ならまだ……引き返せる……? 「もう……っ、そんなんじゃないってば。  何言ってるんだよ、今更ぁ」 俺の言葉に周りから聞こえた 『なぁーんだ、一瞬妙に勘ぐちゃったじゃない』 『俺も~』 そんな声なんとか誤魔化せた? ホッとしたのも束の間 耳元で周りに聞こえない程の声に凍りつく 『……顔に出てるぜ』 ―― ヒューブ……っ?! 『俺を騙せると思うなよー』 うう”っ…… 頭の上でポンポン……と手を弾ませながら 『俺はいいと思うけど?   お前ら2人、そろそろ結果出しても』 意味ありそうに笑ったそんなの そんなの、無理……だよ 『よぉーし……っ、皆の者、次はカラオケいくぜ~』 何処かから聞こえるテンション上がった声に 拍手が起こる 「カラオケか……和葉は行く?」 「う~ん、俺は……」 チラリ、さり気なくエディの方を見た。 相変わらず元カノと楽しげに話し込んでいる。 ―― 何気にムカつく。 「パス、しとく。英語の追試あるから勉強しなきゃ」 「そっか、じゃあ私も ――」 と、ステフまでパスしようとするので、 慌てて俺は行くよう勧める。 「行っといでよ。せっかくヒューブが来てるんだよ~」 「……そ~お? 悪い。じゃ、行かせて貰うわ」 「じゃ ―― また明日、学校で」 「うん。気をつけて帰りなよ~」 ヒラヒラ手を振るステフに見送られて。 皆よりひと足先に店から出た。

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