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第22話 オータムパーティー ②

「受験勉強の方はどう?」 「うん……まぁ、ぼちぼちとやってる。  先輩は?」 「ボクは相変わらずだよ。大女将である祖母は、  家業を継げって人を呼びつけた割には物凄く  手厳しくてね、いつもダメ出しされてる」       ――ふと 何故か? 彼の視線は離れた席のエディに向けられて いて。 エディの方もその視線を真っ向から受け止め、 静かにかち合ったその視線からは 好意的なものが感じられないって言うか、 パチパチと静電気でも起きそうな緊迫感があって……。 「―― 先輩?」 「……実は、許嫁とはあれから2人でよく話し合って、  結婚を前提とした関係は解消したんだ」 「えっ ――」 「だから、俺の時間はまだ……あの時のまま  止まってる」 ―― あの時のままって、そんなこと言われたって…… 「やっぱり俺だって、失恋の疵そういつまでも  引きずっていくのは嫌だから、仕事に打ち込む事で  キミを忘れようとした。でも、結局忘れられなかった  ……ずっと……ずっと、好きだったから」 羽柴 和葉 ――  この世界での名前は 和葉・ランカスター、 もうすぐ17才にして、初めてのモテ期到来ですか?! 先輩…… 「あ、だった、なんてつい過去形で話しちゃったけど、  今でもキミの事が好きだよ」 ――すがるような目 冗談じゃ……じゃないみたいだね。 グラスに残ってる飲み物を一気に煽る。 はぁ~~……つよ ――っ。 喉が……焼けるみたいに熱い 『ねぇ、和葉ちゃん(ちゅわぁぁん)、キミ、 エディんちに居候してるってほんとー? もしかしてー、キミが噂の候補者様だったりしてぇ~』 そう聞いてきたのは3年の男子で名前は知らない。 でも彼は俺をあんな風に馴れ馴れしく呼んだって事は 何処かで挨拶くらいはした事があるのかも知れない。 「えっ……(そんなこと一体どこから……)」 因みに、エディが自宅であるランカスター城へ 自分の正室候補を何人か住まわせているって事は、 だいたいの人々も知ってるらしいが、それら候補者達の パーソナルデータは伯爵家のトップシークレットで。 従って俺が候補者の1人って事もバレてはいないハズ。 『ねぇねぇ、和葉ちゃんー。おせーてよ。キミも他の  連中と同んなじでエディが本命なのぉ~?』 ほとほと困って視線を彷徨わせたら、反対側の端っこの 席でほほ杖をついたエディの真っ直ぐな目にぶつかって 一瞬、言葉が出なかった 『ねぇ、ねぇおせーてよ』 ……っ…… こんな質問は今の俺にとって一番、厄介なモノ。 【違いますよ】 たった、このひと言でいいのに、 言葉が出ない。 近くの席のステファニー(ステフ)やコンラッド、 クラウス先輩までも興味深そうに見てる! 何か、言わなきゃ……でも ―― 何て言う……? 頭の中で必死に自問自答を繰り返す。 『……かず? あんたもしかして ――』 勘ぐるようなステフの声に、 バレた!……そう思った瞬間。 『あ~、お前らまーた和葉からかって遊んでん  のかぁ?』 ……っ!!

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