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Ⅰ章 優しいその指が……①
「藤野 鷹緒 です。失礼ですが貴方は?」
「本当に貴方は鷹緒さんですか?」
俺より年下……未成年だろうか。
陶磁の肌に長い睫毛がかかる。眉目秀麗とは彼のためにある言葉なのか。
白皙の面表 には、意志の強い琥珀の眼が宿っている。
「お引き取りを」
溜め息をつくと、青年は立ち上がった。
「待ってください!気分を害したなら謝ります。貴方は鷹緒さんなのですかっ? 」
「なぜ、私が貴方に嘘をつく必要があるのです?」
「質問に答えてください。貴方は……」
「私が藤野 鷹緒です」
琥珀の眼が射貫く。
「……では、お引き取り頂けますか」
「違う!貴方は鷹緒さんではない!
ここは鷹緒さんの家だ。
なのに、どうして貴方はこの家に住んでいるんですかッ」
「貴方こそ……」
凍てついた瞳
「ここが、どういう所かご存知なのですか?」
ここは………
「男が男を買う場所です」
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