4 / 25

Ⅰ章 優しいその指が……①

藤野(トウノ) 鷹緒(タカヲ)です。失礼ですが貴方は?」 「本当に貴方は鷹緒さんですか?」 俺より年下……未成年だろうか。 陶磁の肌に長い睫毛がかかる。眉目秀麗とは彼のためにある言葉なのか。 白皙の面表(つらおもて)には、意志の強い琥珀の眼が宿っている。 「お引き取りを」 溜め息をつくと、青年は立ち上がった。 「待ってください!気分を害したなら謝ります。貴方は鷹緒さんなのですかっ? 」 「なぜ、私が貴方に嘘をつく必要があるのです?」 「質問に答えてください。貴方は……」 「私が藤野 鷹緒です」 琥珀の眼が射貫く。 「……では、お引き取り頂けますか」 「違う!貴方は鷹緒さんではない! ここは鷹緒さんの家だ。 なのに、どうして貴方はこの家に住んでいるんですかッ」 「貴方こそ……」 凍てついた瞳 「ここが、どういう所かご存知なのですか?」 ここは……… 「男が男を買う場所です」

ともだちにシェアしよう!