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31-温泉へ行こう!!!!
「うわぁ! 見て見て、巽さんっ! 川流れてるよ!? 下でざぁざぁ川流れてるよ!?」
「そうだな」
「すごい! 木がいっぱい! 猿いるかな!?」
「いるかもしれねぇな」
「えぇぇえっ! 絶対写メとりてぇ!!」
「では館内の説明を始めてもよろしいでしょうか?」
やべッ、まだ従業員さんいたの?
部屋に案内されるなり解放感ある窓辺に直行した俺、ガラガラと窓を開ければ二階部屋の下にはざぁざぁ流れる川がどーーーんっ、おかげでテンション上がり過ぎた。
恐る恐る振り返ればいつの間にアウター脱いで座椅子に落ち着いている巽、その傍らで微笑ましそうに笑っている従業員のおねーさん。
うわ、恥ずかし!
あーでもマジで猿の写真とりたい!!
冬休み、俺と巽、温泉旅行にやってきました。
なかなかな遠出で三時間くらいかけて高速飛ばして山間に広がる温泉街に到着。
そこからさらに山ん中を突き進んで川沿いにある旅館に夕方前にチェックイン。
何か別世界みてー。
温泉街からちょっと離れてて、マイナスイオンに包まれた山の宿って感じで、趣き? 風情? そーいうモンがだだ漏れ状態。
すーはーすーはー、いい匂い、ウチの和室にある畳からはこんな高級な匂い、ぜんっぜんしない!
和室の隣は洋室でベッドが二つ、ふっかふかだー!
「巽さん、ふかふかだよ! すげぇふかふかだよ!」
二つ並んだベッドの一つに飛び込んではしゃいでいたら「そろそろ落ち着け、コーイチ」と和室の方からドライな声が聞こえてきた。
確かに俺のテンション、昨日の夜から上がりっぱなしだ。
何着ていくか、靴どーするか、バッグのサイズどれにするか、着替えはどれだ、あーでもないこーでもない、数時間悩んで何とか決めて、深夜にベッドに入って。
でも寝れないんですよねー。
だって巽と温泉だもん、旅行とか久々だもん、この体育教師忙しいからさー。
ふかふかベッドから和室に戻ってみれば巽はお茶を飲んでいた、あ、俺の分も入ってる、いただきまーす、うわッ、このお茶しょっぱくてウマッ!!
「巽さんッ巽さんッ、このお茶スープみたい!!」
「お茶にまでテンション上げるんじゃねぇ、コーイチ」
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