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19-パラレル番外編★万引き女装男子!?

「このクソガキが、なめた真似しやがって」 ひーーーーーーーっ。 この人ほんとにスーパーの人? [新鮮野菜!新鮮玉子!新鮮お魚に新鮮お肉!新鮮選り取り見取り!]なんて新鮮ゴリ押しのキャッチフレーズ掲げるスーパーで働いてる人? スーパーに雇われてるどこかの構成員の人、とかじゃなくて? 「っち」 わ! 舌打ちした! イス蹴った! 怖いよー、帰りたいよー! まー、万引きした俺が悪いんだけど。 万引きした理由、は、特にない。 なんかハラハラドキドキしたかったとゆーか、あ、スリル! スリル欲しさ? 暇潰しとゆーか。 なんか学校も友達も家もマンネリとゆーか。 最初は友達のねーちゃんにもらった制服で女装して気分転換してたんだけど。 放課後、電車乗ってちょっと遠出して、ぶらぶらして。 そしたらこのしょぼーいスーパーの前、通りかかって、何となく入ってみて。 新商品のガム、何となく手にして、客も少なかったし。 ワクワクしながらブレザーのポケットに突っ込んだら。 『おい』 さっきまで誰もいなかったはずの背後にこの人が立っていた。 ()られると思った、やばいくらい尖った目つき。 はっきり言います、俺、おしっこ洩らしそうでした! 「中学生か、お前」 夜の九時過ぎ、スーパーは閉店して、他の店員さんは帰って。 目の前に立ってるこのおっかねー店員と二人きり。 周りはロッカーに囲まれて、真ん中には長テーブルにパイプ椅子、わぁ、ひろーい、なんてお世辞にも言えないけど、うぇ、せまッ、なんてこともない部屋だ、休憩室かな? 「聞いてんのか」 「ひっ、あ、はいっ、中学生ですっ」 「学年は」 「……二年です」 「名前は。生徒手帳、出せ」 「……持ってませぇん……佐藤(偽名)ですぅ」 「佐藤、ねぇ」 エプロンつけてなかったらスーパーの店員だとはとても思えない。 目つき、やば。 殺し屋? スナイパー? まぁ男前ではありますね。 「なんで万引きしやがった」 長テーブルに置かれていたガムを手にした店員。 あ、エプロンに名札が、名前、緒方だって。 て……店長? ですか? 「買う金、持ってるだろ」 ていうか、これ、アレなのかな。 警察呼ばれちゃうのかな。 親にばれっかな。 学校にもばれる? コーイチ君、女装してスーパーで万引きして補導されたってよ(笑) いや、笑えない、ださい、ださすぎる、そんなのやだーーーーー!

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