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「ご、ごめんなさい」
「あ?」
「ま……魔に差されました」
「魔が差した、な、蚊に刺されたみてぇに言うんじゃねぇ」
「ほんとにごめんなさい、こんなこと、やったの、初めてで、ごめんなさいっ!!」
ほんと、なんでこんなことやったんだろ、ばかみてー、ばかばかばかばか、俺のばか。
一瞬のスリル感じたいからって、一生台無しにするかもしんないのに。
ばか。
「ごめんなさい……すみません……」
ぽろっと涙が出た。
泣くの、いつ振りかな?
小学校の体育祭、リレーで転んでビリになって以来かな。
「ごめんなさぃぃ……」
向かい側に座っていた緒方、テーブルを迂回して俺の横にやってきた。
ださくてあんまり見られたくなかったけど、覚悟を決めて、俺はぽろぽろ泣きながら緒方を見上げた。
「……」
緒方はじっっと俺のこと見下ろしてきて、そして……。
「は、っ、は、ぁっ……や、ぁ、ぁ、っ……あーーー……っっや、ら、ぁ……っ……!」
なんすか、コレ。
万引き犯に対するお仕置きですか?
犯罪域に達してないですか!?
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