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小ネタあつめ!!③

■女装男子ママとその家族の夏始め コーイチのこどもの小市が週明けに幼稚園でのプールデビューを控えた週末。 「水着、いつも夏に着せてるやつでいいかなぁ、巽さん」 「いつも夏に着せてるやつって、お前とお揃いのピンク地に星柄のやつか。やめとけ、派手過ぎる」 「あっ、水着入れる、なんか透明なバッグもいるよね、つーか水泳帽もか? 水中メガネも!? ビート板も!!??」 「ビート板はさすがに草だな、なぁ、小市」 「ママ、くっっっっさ(*´∇`*)」 「俺くさくねーもん!!!!」 入用なものを揃えるため、ズバリなんでも揃うイ●ンにやってきた女装男子のコーイチ、その旦那様の巽、二人のこどもの小市。 「おれ、ひとまずアイスクリームたべます(*´∇`*)」 「どれがいい、小市」 「おい! 二人とも! 悠長にアイス食べようとすんなっ、アイスはあーとーで!!」 ガミガミなコーイチは小市を抱っこし、巽の腕を引っ掴んで水着コーナーを勇ましく目指した。 「くさくさくさくさ(`△´)」 「そんなに急かす必要ねぇだろ、コーイチ」 「小市アイス食べてお腹膨れたらすぐ寝んだもん、水着選べなくなる、小市っ、クサ言うなっ、最近クサがクセんなってんぞ!」 「適当に買ってやりゃあいいだろ」 「だめ、ちゃんと小市に選んでもらわなきゃ。自分で好きなもの決めてもらうんだもん」 なーんて熱弁したコーイチだが。 はぁ~~、なにこの腕、最ッ高、ちょっと熱もってて血管浮いてて逞しいかんじ、あ~~、たまんね~~、俺の旦那様たまんね~~。 「コーイチ、そっちはトイレだ」 「はッッ」 巽に軌道修正してもらい、水着コーナーに到着した。 「わぁ、へ~~、けっこー種類あるじゃん、へ~~、こんなのも売ってんだ~~」 児童向けへ向かうどころか、レディースが展示されている売り場へフラフラ寄り道する始末。 「コーイチ、小市貸せ」 「ほらほら、巽さん、これよくない? かわい? 似合う?」 自分でも着れそうな布面積の多い水着をあてがい、ニマニマしながら巽に尋ねる。 自分達を注意しておきながら堂々と悠長にしているコーイチに呆れる旦那様かと思いきや。 「こっちの方がいいんじゃねぇのか」 布面積が甚だ少ない水着を女装男子嫁にあてがった。 「えぇぇえ……それさ……食み出ます」 「ウチで着りゃあいいだろ」 「はい?」 「家の風呂でプールごっこでもやるか」 「た、巽さんのえっち……♪」 ママもたつみもどっちもくさはえる(*´∇`*) 「よしっ、一通り買ったし、アイス食べよーな、小市」 「三種もりで(*´∇`*)」 「トリプルを居酒屋のメニューみたいに言うな、小市」 「たつみー(*´∇`*)」 「巽さーん♪」 コーイチと小市に両脇から甘えられ、愛する家族と一緒に過ごす休日をとことん満喫する体育教師なのだった。 ■女装男子ママとその家族の七月七日 「(`△´)(`△´)(`△´)」 「なんで小市は怒ってるんだ、コーイチ」 「ウチには笹が生えてないって」 「ああ、七夕か」 「マンションだから仕方ないだろー?」 「ただちにはやしてください(`△´)」 「むりです」 コーイチと小市が掴み合いするのを眺めていた巽は。 「ちょっと出てくる」 七夕の日曜日、二時間ばかり外出し、戻ってきたその手には。 「ささーーーーーっっ(*´∇`*)」 立派な笹を肩に担いで帰ってきた巽に小市は大喜び、コーイチは、笹泥棒にしか見えない旦那様の姿に呆気にとられた。 「ど、どしたの、それ、どっかのおうちの庭か山から引っこ抜いて来たとか?」 「教頭からもらってきた」 「きょ、教頭先生から?」 「立派な庭園があるって聞いていたからな、連絡してみたら、快諾してくれた」 巽が持っているのは笹だけではなかった。 短冊や折り紙、飾り物が揃った七夕セットを購入していた。 「願い事書こうな、小市」 「うん」 ローテーブルで短冊に無数の願い事を書きまくる小市に寄り添う巽を見、コーイチは、エプロン下でぺちゃぱいをキュンキュンさせた。 何回惚れ直させるつもりだろ、俺の旦那様。 よ、よし、巽も男を見せてくれたし、俺も見習って女装男子の全力ママパワー見せないと……!! その夜の晩ごはんは。 「おほしさま」 星形にくり抜かれたニンジンやチーズで七夕感を添えた甘口エビカレーライスだった。 「おいしー(*´∇`*)」 「おかわりいっぱいあるからな」 「俺のおかわりもあるのか、コーイチ」 「あるに決まってんじゃん、ごはん四合炊いたもん」 「おほしさま、おいしー」 「お、マジで? いつもニンジンよけるくせ、やるなぁ、小市」 ダイニングテーブルで隣に座る小市を褒めてやってから、コーイチは、向かい側の巽に満面の笑顔を向けた。 「お星様ニンジンの威力ってすごいね、巽さん」 自分が殻剥き作業を担当したエビを味わっていた巽は、缶ビールを一口飲んで、返事を。 「コーイチ自身の威力がすげぇんだろうが」 平日でも土日でも趣味としてバッチリなメークに励んでいるコーイチの、セパレートタイプのマスカラやらクリームアイシャドウに彩られた双眸がぱっちり見開かれた。 やや身を乗り出した巽はからかい気味にコーイチの鼻先を摘まんで笑みまじりに続けた。 「惚れ直す」 「ッ……ふがっ……ふがふがふがっ」 巽がいて、小市がいて。 めちゃくちゃうまいカレーつくれて、教頭先生が笹くれて、短冊かざって、史上最高の七夕か、コレ。 「おりひめ、と、ひこぼし、らぶらぶ?」 「そーだろーな、らぶらぶだろ、うん」 「ママとたつみより、らぶらぶ?」 「どうだろうな、どう思う、コーイチ」 部屋の明かりを消し、バルコニーから夜空を眺めていた家族三人。 「俺だったら天の川なんか目じゃねーもん、死ぬ気で泳いで渡って巽さんに毎日会いにいくもん、一年に一回限定のデートとか逆に人生終わる」 女装男子嫁の発言に巽は笑った。 「頼もしい織姫だな」 こんな男前な彦星に惚れられて誰が放置プレイなんてできるでしょーか、テヘヘ。

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