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22-情緒不安定阿南先生、再び
どん!!!!
日曜日の昼下がり。
自宅アパートで昼食を終えた阿南が少ない食器を洗っていたときのことだった。
事故だろうか。
車が何かにぶつかったような音が聞こえた。
人の悲鳴も聞こえた気がする。
割と近くからだ。
阿南は大股で室内を横切るとレースカーテン越しに窓の外を覗いてみた。
いつの間に降り出していた雨。
少し遠目に見える人だかり。
煙も見えた。
「三里」
不吉な予感に脳内を巣食われた阿南の唇から一人の生徒の名前が零れ出た。
シンクの水が流しっぱなしであることも忘れ、足早にまた室内を横切って、玄関へ。
サンダルも引っ掛けずに裸足のまま表へ飛び出そうと。
「あ」
ドアを開けばその向こうに三里がいた。
「びっくりした、先生、チャイム鳴らしてないのによく気づきましたね」
雨にしっとり濡れた三里は眼鏡についた雨滴を制服シャツの袖で拭い、かけ直して、首を傾げる。
「もしかして急用か何かですか?」
「……いや」
「あ、そういえばさっきスゴイ音しましたね。事故かな。みんな向こうの道に走って……、……」
まだドアも閉めていない段階で阿南は三里を抱き寄せた。
「……お前が事故に遭ったのかと」
「え?」
「……何でもない」
よかった。
ここにいる。
シンクの水がまだ止められずに無駄に延々と流されている。
「あっん……阿南せんせぇ……っ」
阿南と三里はまだ玄関にいた。
阿南は裸足、三里は靴を履いたまま。
「ん~~っっせんせ……!」
三里を抱き寄せた阿南はそのままセックスに移行した。
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