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西日に誘われて蜩が寂しげに鳴き始める夕方。 「んっっ、んっ、っ、ん、っっん、っっ、んっっ」 押入れから引っ張り出されたマットレスと敷布団の上で。 はだけた半袖シャツ一枚しか身に着けていない三里は。 ちんぐりがえし状態で軽い絶頂を繰り返していた。 「あなん、せんせ……」 無駄な贅肉など皆無な細身の筋肉質ボディをほぼ曝したボクサーパンツ一丁の阿南は、生徒の股間に顔を埋めていた。 自宅でシャワーを済ませてきた三里の後孔を獣じみた舌遣いで舐めながら、小ぶりのペニスをじれったいスピードでゆっくりしごいていた。 ふやけてきた入り口の襞が抉じ開けられ、凶器めく舌で仮膣を突かれる。 先走った透明な蜜で背徳的に濡れる先っちょが掌にすっぽり包み込まれ、じっくり擦り上げられる。 三里の目立たない喉骨がピクピクと震えた。 親指まで突き入れられてさらにナカを押し開かれると、空中に投げ出された爪先は硬く張り詰め、窮屈そうにキュッと丸まった。 「せんせ……も、ほしい……」 激しく舌姦しながら優しく愛撫する阿南に全身きゅんきゅんが止まらない三里はおねだりする。 「阿南先生の甘くておいしぃおちんぽ、ほしぃ」 「……甘いのか、俺のは」 先程からずっと「ほしぃほしぃ」と鳴く三里のおねだりを阿南は何気にずっと無視していた。 「やっっっ……!」 今度は優しく愛撫していたペニスにむしゃぶりつく。 使いこなされた後ろと違って、オナホ以外、未だ経験値ゼロの童貞果実を余すことなく味わった。 最奥まで疼く尻孔に中指と薬指を捻じ込み、内壁同士が押し合い圧し合いする仮膣内で鉤型に曲げ、男体Gスポットを悩ましげに刺激する。 口内で脈打つ棹に舌を絡ませては小刻みにしごいてやった。 「ゃ、ぁ、ぁ、ぁ、ん……っっっ」 三里は甘い悲鳴を上げた。 眼鏡まできゅんきゅんしてしまいそうだ。 献身的な前戯を執拗に続けて焦らしてくる阿南先生に、けしからん淫乱一途生徒はヨダレまで垂らして身悶えた。 「ぃっ……ぃっちゃぅ……っっ……やらぁ……ぼく、せんせぇの甘々おちんぽでいきたぃですっ……おちんぽちょぉらぃっっ……もぉおちんぽっっ……!!」 恥ずかしげもなく陰茎連呼する三里を、阿南は、チラリと見上げた。 「……阿南せんせ……」 華奢な肢体に覆い被さった逞しい体。 至近距離から突きつけられる、全身から立ち上る熱気、相も変わらず淡泊な眼差し。 障子紙に滲む西日を受け止めた、なだらかで縋り甲斐のある広い肩。 め……めすになっちゃう……。 たっぷりご奉仕され、阿南の唾液で濡れそぼつ後孔をヒクつかせて「せんせ……早く……」と三里が本番を強請れば。 しょうがない性格の阿南先生は。 「んにゃっっっ?」 教師ペニスを待ち侘びる生徒アナルに再び指を。 真ん中の指三本を纏めてヌプリと捻じ込んできた。 みちみちと押し拡げて細やかなる指ピストン。 ピンポイントでコリコリ前立腺を攻め立てる。 ペニスどころか、ふっくら双球までピクピク振動させ、三里は仰け反った。 シャツが一段とはだけて薄っぺらな胸が露出し、ツンと芽吹いてほんのり色づく突起もお目見えすると、阿南の寡黙な唇は自然と吸い寄せられて。 「あんっっっ……や、やぁ……今乳首いぢっちゃらめっ……あ、ぁ、んっ……そんな、えっちに舐められたら……っぼく、もぉ……っ」 乳首を丹念に舐め回しながら生徒アナルをぬぷぬぷ、ぐりぐり、ぬぷぬぷ、ぐりぐり、阿南はしつこく刺激した。 本番を焦らされて長々と続けられる前戯。 さっきまで寡黙な唇に囚われていた三里のペニスが一段と跳ね上がった。 色鮮やかに充血し、目に見えて張り詰め、日焼けに疎く滑々したお腹の上でフルフルと悶絶し、そして。 「ぃっ……ぃっ……ぃく……っっっ」 三里はメスイキした。 射精せずに、仮膣をヌチュヌチュと掻き回していた節くれ立つ指をむぎゅむぎゅ締めつけ、甘噛みされている乳首をツンツン尖がらせ、ヤラシク絶頂した。 それでも阿南は前戯を続行させた。 一段とキツク締まった仮膣性感帯を指腹で何度も丁寧に嬲り、ぷっくり尖った乳首をしゃぶり続けた。 「あ、あ、ん、あん、だめ、っ、い、いくっ、またいくっ、いきっぱなしに、なっちゃ、っ、あん、あ、ぁ、ぁ、ん」 エビ反りになって全身を微痙攣させてよがりまくる三里。 まるで肉食獣の重たすぎる愛情に押し潰されてヘロヘロになってしまう小動物のような。 夕闇が緩々と迫り始める頃、おもむろに引き抜かれていった節くれ立つ指。 「はーーーっ……はーーーっ……あにゃん、せんせ、ぇの、いじわる……」 ぐっしょり汗をかいてシーツまで濡らした三里はうるうるまなこで未だ淡々とした顔つきでいる阿南を見つめた。 「ほ……ほんと、先生ってしょうがない性格です……ばか……ばーか……ばーーーーーか……」 次から次に溢れた先走りで生徒ペニスを淫らに濡らした三里に貶されて阿南は言う。 「こんなしょうがない性格の俺の面倒、一生見てくれるか」 三里はぜぇぜぇしながらも迷わずこっくり頷いた。 「阿南先生、僕のだもん」 「そうだな」 「僕の欠片(ピース)なんです」 「ピース?」 「阿南先生と出会って、僕、やっと完成したんです」 「……」 「阿南先生が空っぽだった僕を埋めてくれたんです」 息切れしていた三里はよいしょと半身を起こした。 すぐそばで座り込んでいた阿南によりもっと寄り添うと、こどもじみた柔らかな小さな両手を体育教師の両頬にあてがった。 「阿南先生、どうして泣いてるの?」 無表情のまま淡々と涙した阿南は三里の両手を上から握り締めた。 「俺も同じだと思ってな」 「ほんとう?」 しんなりした前下がりの黒髪をサラリと滴らせ、小首を傾げた生徒に阿南は浅く頷いてみせた。 泣かないで、とも言わず、目の前で泣かれて悲しそうにするわけでもなく、繁々と顔を覗き込んでくる三里に笑いかけた。 「お前を嫁にもらえて幸せだ、三里」

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