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「丹下って誰かに虐められでもしてたワケ?」
「えー?ないでしょ、高校生で虐めとかナイナイ」
「でも丹下って明らかに虐められそうなタイプじゃん」
「あーね、分かる」
「ヒョロくて弱そーで、オドオドしてるし」
「本人の前で言うなよ~、カワイソーじゃん。アハハッ。
ってかコイツ大丈夫?さっきからなんも喋んないケド」
「オーイ、聞いてるー?」
――ああ……光が今まさに虐められている!
かわいそう、かわいそう、かわいそう、かわいそう……
可哀想だ、助けなきゃ!
ボクは止めていた足を動かし、光たちの方へ行く。
「あれ?二人共なにしてるの?デート?」
そして二人に声を掛けた。
「あ、池澤だー」
「あれ、お前んちこの辺なの?」
「そうだよ、すぐそこ」
「へー、そうなんだー」
「うん。ボク今バイトの帰りでさ、この公園突っ切ると近道だから……」
「あ、そうだったんだー。お疲れー」
「ふーん。まあなんでもいいや。行こうぜ」
「うん、じゃあねー、池澤。また明日」
「うん、ばいばい」
クラスメイトの二人はボクらに背を向けて歩いて行った。
二人の背中は徐々に小さくなって行き、やがて見えなくなる。
「はあ……はっ……」
「光……?」
二人は居なくなったのに、光の様子はおかしいままだった。
顔が真っ青で凄く汗をかいている。
息が荒く、苦しそうに胸を手で押さえている。
「苦しい……っ」
「だ、大丈夫……?苦しいの?」
「おれ、ダメなんだ……ッ、なんかあるとすぐ、息がッ……動悸がしてっ……はッ、あッ」
「きゅ、救急車……」
ボクはポケットから携帯を取り出して救急車を呼ぼうとした。
だけどボクの携帯を持つ手は光に取り押さえられてしまう。
光は震える手でボクの手を強く握ってくる。
まるで縋る様に握られた手……。
ボクは震える光の手を、自分のもう片方の手で握り返した。
「はあっ、ごめ、ん……すぐ治る、からッ……っ」
「…………うん……大丈夫だよ、ボクが付いてる」
「はあっ、はあ……はーっ……」
「ボクが守って…………あげるからね」
「…………ッ、うん」
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