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――家から徒歩数分で行ける公園。 小学生の頃よく光と一緒に遊んだ場所……。 そこに光と二人で来ていた。 正直言って光が家から出てくれた事に驚いている。 外へ遊びに誘った事は今までも何度もあった。 光はボクの誘いを毎回『嫌だ』『無理だ』と言って断った。 だけど今日は違った。 この公園であれば一緒に行ってもいい……。 光はそう言ったんだ。 「懐かしいね、この公園。昔、二人でよく来たよね」 光が一体どういうつもりなのか分からなかった。 今まで頑なに外へ出る事を拒否していたのに、どうして今日はこんなにあっさり外へ出てくれたんだろう。 「光、今日はどうして外に出てくれたの?」 「…………別に。なんとなく」 「そうなんだ」 ――なんだか胸がざわざわするな……。 自分の部屋からどうやっても出たがらなかった光……。 そんな光がほんの少しの距離とは言え、外へ出たんだ。 立派な事だ。 頑張ってるじゃないか。 これは紛れもなく良い方向への一歩だ。 光の成長だ。 それなのに…… ボクはどうして、それを素直に喜べないんだろう。 どうしてこんなに胸がざわついて不安になるんだろう。 ボクは何が気に入らないんだ。 ……自分で自分が分からない。 もしこの間の告白で、光の中に何か変化が生まれてしまったのだとしたら…… そうなのだとしたら、ボクはどうすればいいんだろう。 「喉渇いた……お前何か買って来いよ」 「……あ、うん、何がいい?」 頼まれごとをされると安心する。 自分が誰かの役に立っていると思えるから。 「炭酸」 「分かった。すぐ戻って来るから待っててね」 公園の側の自販機でジュースとお茶を買った。 光を待たせたら可哀想なので走って公園まで帰る。 誰かの為に動けるって気持ちいい。 光には、もっともっとボクを頼って欲しい。 ボクは光の為ならなんだってするから、なんでも言って欲しい。 ボクの事は好きなように使ってくれて構わないんだ。 「あれ……お前、丹下……?」 「うわ、マジだー。チョー久しぶりに見た」 ボクの数メートル先で、光と二人組の誰かが話している。 その誰かはボクと光のクラスメイトの男女だった。 ボクは走っていた足を止め、光とクラスメイト二人のやり取りを傍観する。 「今なにしてんの?なんで学校来ねぇの?」 「え……ぁ…………」 「え、っていうかもう辞めたんじゃないの?」 「…………っ」 うわ、光……何も喋れなくなってる……。 光は遠くから見ても分かるくらい顔面蒼白で、明らかに異常だった。 手も震えてるみたいだし、きっと冷や汗もびっしょりかいてるんだろうな。 ああ……引き籠りで不登校の光が、こんな公園でクラスメイトの男女に会ってしまうなんて…… ――なんてカワイソウなんだろう!

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