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「はあ……はあ……っ」 ひたすら走って、逃げるように自分の家に駆け込んだ。 そして今更になって光を『殺そう』だなんて考えていた自分が恐ろしくなった。 今まで一生懸命尽くして来て世界で一番大好きだった光を、このボクが『殺す』だなんて有り得ない。 光に死んで欲しいなんて思ってない。 しかも自分の手で殺そうだなんて……。 ボクはなんて恐ろしい事を……。 もう自分が自分で分からない。 誰かボクを助けて欲しい。 「高幸くん、おかえり。どうしたの?凄い慌てて……」 リビングに行くと女が声をかけて来た。花実さんだ。 「はあ……はあ……」 ――クソッ……この女はッ……!! ――大嫌いだ……この女ッ!!! この女はボクにとって『異物』だ。 突然家族の中に入り込んできて、ボクの役割を全て横取っていった。 ――憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。 殺すなら光よりもこの女だ。

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