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第202話白猫ヨーイチ5
(大野語り)
下着を膝まで剥ぎ取られて、恥ずかしい格好で揉めていた。俺の股間を見てもつまらないだろうに、ヨーイチは嬉々として興味を示している。白い耳がピクピクと動いた。
「ハヤトにはデカイくて立派なやつが付いているな。触らしてくれ。ニンゲンはこいつが大きいほどモテるんだろう?」
「え、嫌だ。頼むから……お願いだからやめてくれよ。俺はモテないんだよ」
「やめない。俺も触りたい。気持ちいいやつやってやりたい。見せてくれ」
この華奢な体からどっから力が湧いてくるのか、太ももをぐっと押さえつけ、俺のズボンとパンツを脱がして足を割り開いてきた。当然萎えた俺のモノが目の前に晒された訳だが、ヨーイチはうっとりと見た後、指先で弾くように弄びだした。顔が股間に近い。
ああもう……そんなことされたら、生理現象が起こってしまう。相手の見た目はなごみさんと同じだから、なごみにゃんな訳で、猫で裸のなごみさんが俺を誘っているから……た、勃つ。興奮するなと言うのが無理な話だ。
「よし。上を向き始めた。なんかいい匂いがする。ふむ………ハヤトの匂い」
ムクムクと元気になったバカ息子をヨーイチがパクリと口に入れた。
そんなこと、やったらダメだって。俺は人間のなごみさん一筋なんだよ。説明したくてもうまく口が動かなかった。
眼が覚めると、昼過ぎだった。
起き上がると、隣にはヨーイチではなく、なごみさんが覗き込むように俺を見ていた。グレーのスーツに淡いピンクのネクタイが柔らかい雰囲気にぴったりで、思わず目尻が下がる。本物だ。
「隼人君、おはよ。楽しそうな夢見てたのかな?寝ながら笑ってたよ」
「なごみさんっ……なんで?」
「急な手土産が必要になったから、買いに来た。今、雪絵さんが準備してる。ちょうど隼人君が休みの日だし、会えるかなと思って……そしたら寝てた。こんな時間まで寝てるなんて疲れてるんだね。よしよし」
くしゃりと寝癖を撫でられた。枕元の時計は11時を過ぎている。いつもはこんなに寝坊なんかしない。休みが勿体無いから早く起きるくらいなのに、寝すぎて午前中を無駄にしてしまった。
「あの、なごみさん………」
「ん、なに?すぐ戻らなきゃいけないんだ。手短にね」
猫ではなく、愛しい本物の登場に浮き足立った俺は、なごみさんを引き寄せ熱烈なキスを交わした。
予想していたのか、なごみさんもすんなりと舌を差し出して来た。焦がれた存在に心ゆくまでキスをして満たされてゆく。
「ふふふ、週末が楽しみだね。美味しいもの一緒に食べよう。隼人くん、好きだよ」
口を離すと、可愛いことを言うものだから、俺の息子が即座に反応した。だが、下着の中に違和感がある。この感覚はかなり昔に味わった記憶があった。懐かしい……やつだ。
「あ……俺もです。ちょっと着替えるんで、リビング行ってて貰えませんか?昼飯、一緒に行きましょうよ。車で送ります」
「分かった。そろそろ出来る頃だから貰ってくる。下で待ってるね」
すんなりと、なごみさんを退室させて、俺はパンツを覗き込みため息をついた。
夢精はいつぶりだろうか。遠い記憶の中にある若い俺しか知らない。
これってやっぱりアレか……アレだよな。
「にゃー…………」
「うわぁぁぁぁぁっ、ヨーイチ。いつの間に何してんだよ。見んなよ。あっち行ってなさい」
「にゃ?」
偶然なのか、必然なのか、申し合わせたようにヨーイチが部屋にいたのだ。
首を傾げながら鳴く仕草があざとく見えて、油断ならない気がした。慌てて外に出し、服を着替える。今はあの白猫が怖い。
パンツ……後でこっそり洗わないと、母さんにネタを提供してしまう。なごみさんにバレたら、たぶん色んな意味で俺は死ぬ。
脱いだパンツをベッドの下に隠しながらそう思った。
【これにて、白猫ヨーイチ終わります。パロディにお付き合いくださりありがとうございました。】
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