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第271話StayHome11おまけ

「これくらい別に。いい加減、社長に戻ったらいかがですか」 「…………分かってる。さっき森本から連絡もらった。明後日から出社する」 森本とは、総務担当役員であり、数少ない白勢の理解者だ。 仔猫達の食べっぷりに目を細めた白勢は、征士郎と向き合った。 「明日はこいつらを病院へ連れて行く。それから里親を決める。受け入れ先はほぼ決まった」 白勢の人脈は征士郎さえも計り知れない。家に知らない人が尋ねてくるのにもすっかり慣れた。 猫の里親は面接をして決めるんだと、白勢は意気込んでいた。まるで入社試験だ。 「分かりました。明日は病院ですね」 「えらく素直に承諾するんだな」 「抵抗をやめただけです。無駄なことはしない主義なんで」 「お前のそういうとこ、好きだよ」 仔猫の匂いを纏った白勢が征士郎の耳たぶを軽く啄む。征士郎はくすぐったい感触に身震いした。 実は、仔猫のみならず、白瀬は征士郎の夜の世話もきちんとやっていた。自分の代わりに出社している征士郎の小さな変化を見逃さず、気が付けばフォローに回った。寂しがり屋の恋人が最優先であり、猫の世話はあくまで暇つぶしである。 そのお陰からか、征士郎は協力的だった。物事は進め方が大切であり、大切なものさえ押さえていれば、素行が悪くとも問題はないのだ。 「子供たちが見てますよ。いいんですか」 「いいよ。こいつらだって半年過ぎれば盛るだろう。予習だ」 「…………もう、何を可愛がっているのかよく分からない人だ」 「俺は、征士郎が一番。それ以上もそれ以外もないよ」 「嘘ばっか……」 「嘘ではないことぐらいお前が一番知っているだろう。ほらもっとこっち来い」 「…………ん…………ぁっ……」 甘すぎる口づけに、征士郎は立っていられなくなる。今日はどのように抱いてくれるのだろう。悦びに期待して愛しい人へ身を委ねた。 【おしまい】

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