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第15話

「えいって力を入れても僕はボタン飛ばさないよね」 「傷をえぐるなよ」 「ふふふ」 彼の上を脱がせたら、今度は両手を上にあげた。 「何?」 「俺が脱がせたら乱暴らしいから、自分で脱げ」 「えー……」 と言いつつも、それは考えていなかったなってシャツを脱いだ。 手をクロスして服を掴んだら、『えっろ』と彼がこぼしたのは笑ってしまった。 服を脱いで、自分からキスをしてみた。 彼は体温が高いので、少し寒い今日は暖をとるには最適だった。 唇を離して見上げた彼は、目を見開いて涙を流していた。 「悪い。なんか、許された気がし、て」 「七海」 たかがセックスなんだけど、僕たちの心を一番傷つけるだけの触れ合いだったね。 僕も今までの自分の反応が蘇って胸をえぐった。 ごめん。大好きな君をこれほど傷つけていたなんて、ごめんね。 その日の、セックスは今までで一番優しいのに、今までで一番気持ちよくて胸を焦がした。 優しく触れる彼の手が、泣き出しそうな彼の瞳が、震えている唇が僕の体をなぞるのが、たまらなく愛おしかった。 まだ強張っていたのは彼の方で、僕が口に咥えて吸うとポタポタと汗ではない液体が顔に落ちてきた。 彼を求めたことがなかった。僕からシたことがなかった。 彼がいつも早急に求めてくるから、僕は愛情を表現するのを怠っていたんだね。 恐る恐る触れる彼から確かに愛情を感じて、僕も愛情を感じたくて沢山触った。 触れるだけでイってしまいそうになるような、しびれる甘い夜。 涙でぐちゃぐちゃの互いの顔を、指先で拭って抱き合って眠った。 朝起きると、僕の指には彼の指輪が光っていた。 背中から抱きしめられていた僕は、回転して彼の方を向き僕からも抱きしめ返した。 彼が起きたら、婚姻届けを記入して市役所に向かおう。 幸せに包まれた僕が、その月にヒートが戻ったことは言うまでもない。 終。

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