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ほとんど形だけのHRが終わり、時間は放課後。
カバンを肩にかけてBクラスを覗く。
「阿佐ヶ谷、こちらです。」
香取が小さく手を挙げた。そこに座っていたのは
「……。」
昼間の仏頂面大盛りパン山無礼男だった。
「君が二宮ツルギくん?」
「……そうだが何か?」
訝しげな視線を遠慮なくぶつけてくる二宮にちょーっと、少し、ちょっぴり、イラッとした。
「俺は阿佐ヶ谷。阿佐ヶ谷帝。いやぁ、顔よし頭よし運動神経よしのイイ男が入ってきたってもっぱらの噂だったから今のうちに仲良くなっとこうと思って。」
はい、握手。とにこやかに右手を差し出してみる。
握らない。
てか右手に目もくれない。
俺様の白魚のように綺麗な手が目の前に差し出されているというのにこの男は!
なんだ、根性無しか?
美しすぎて触れられません(∩´﹏`∩)ふえぇ
ってか!?
「俺は、自分の本心を隠すために笑うやつは嫌いだ。」
「…………は?」
思った以上に間抜けな声が出た。
今なんて言った、こいつ?
「精々物珍しいやつが来たから品定めしてやろうってところか。仲良くなっとこうなんてこれっぽっちも思ってない。だからそんな薄っぺらい笑顔を貼り付けてるんだろ。」
確かに。まったくもってその通り。
物珍しいやつ、いや気に入らないやつが来たからその面拝んでやろうと思っただけ。自分より格下なら興味の外へ、あるわけないが同等なら目をかけてやらんでもないと思った。
噂にはない、人の真意を汲み取るのがうまいという情報を得た。
俺様に対して反抗的かつ生意気でストイックで自分に確固たる自信もあるやつ。俺はこういう手合いのやつを何度か見てきた。
「君面白いね。俺のおもちゃにしてやるよ。」
「断る。」
「え、はぁ?!」
そこは、頬を赤らめて
『は?!何言ってんだお前!』
って言うところだろ?!
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