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作戦開始

** 「学外」研修がまさか敷地内で行われているとは…。 まあ、よくよく考えてみれば超のつく坊ちゃん達をひとかたまりにして都会へ放り出すというのは危険極まりないとは分かってる。 わかっているがこれは如何なものか…。 「なぁ、小山田。その、何というか。」 「…小学校の遠足みたい、でしょ?」 「あ、あぁ。俺こういうの幼稚園以来だ。」 「小学校ですらなかったかぁ…。」 「しかし、この学校の敷地って本当に広いんだな。」 「そうだねぇ、山二ツ分くらい?って学園長が言ってた気がする。」 と、くだらない話をしながら列を為して歩く。 前方から尋常じゃない視線を感じながら。 出席番号順に2列に並んでいるのだがやつ、阿佐ヶ谷が後ろ3分の1程度の位置にいる。チラチラこっちを見ているかと思えば、俺と小山田が話しているとじーっとこっちを見つめてくる。気持ち悪い。 列は出席順のはずだが、1番前だと1年からの猛攻を食らうし、一番後ろだと俺たちBクラスとはちあう形になるからあの位置にいるのだろう。盤石の阿佐ヶ谷バリアだ。 外敵から守るならどこからも見えないようにしっかり閉じ込めとけよと思うのだが、何故だ。何故この学園の生徒はあの男に対してあんなに甘いのか。 ちなみに俺と小山田は2列になった時に偶然場所が近く、近くにいる数名が遠巻き(?)に見る中喋りながら山をのぼっている。 「最初の休憩ポイントまでもう少しか…。」 「そうだね。多分もうそろそろ…」 「あのぅ…」 来た。 今年の1年生の中でも1番の美少年と噂の西園寺琴である。初等部から後頭部まで持ち上がりで、中等部の頃から阿佐ヶ谷を狙っているという情報のあった期待の新人。 小さい頃から両親に甘やかされてそだっているためか、欲しいものは何がなんでも手に入れるあざとい小悪魔腹黒タイプ。((by小山田調べ あざといというのはどういうことかよく分からんが、可愛い顔してえげつない上にだいぶいいとこの坊ちゃんで下手を打つと家が潰されるためか持ち上がり組では地雷らしい彼に手を出すのはそれなりの勇気と地位とその他諸々が必要だろう。恋愛にスリルを求めるなら彼はちょうどいい。とかなんとか言峰は言っていたが、 そんなのが阿佐ヶ谷狙い。絶好のチャンスだ。偶然にも西園寺が小山田に阿佐ヶ谷の情報を売れと言ってきたようなので、当日は1番前にはおらず、列の真ん中辺りにいるのではないかという情報を渡してもらい、 「2人っきりになるなら1回目の小休憩前くらいが丁度じゃない?」 と一言付け加えてもらった。クラスからはぐれた体で阿佐ヶ谷に近づき休憩に入るまで距離を取る。あわよくば休憩時間中も手放さないでくれ西園寺。

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