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第2話
ガシャン!!!
「……っ……!」
何か夢を見た気がした
とても温かい夢
顔に止まるハエを払って起き上がる
大きな音がした事に気づき見ると猫のなーが餌入れをひっくり返したようだった
《ンナァァ……》
「あぁ、なーごめんねお腹すいたよね
ちょっと待ってね」
ベランダの雨水でお皿を洗い消毒液で拭きカラカラとご飯を入れる
「ごめんね……
またお兄ちゃん頑張ってくるからね」
ハグハグとたべるなーの頭を撫でて特に涼しくもない冷蔵庫を開ける
電気も止まった
ガスも水も
学校も辞めて
Ωという理由だけで雇ってくれる優しい社会じゃない
今は発情期の薬も買えず
でも発情期の4日1ヶ月に1度の稼ぎ時
朝から夜まで道行く人に拾われながら少ないながらもお金を貰いなんとかなーの食事代は稼げている
でもアパートの家賃も滞納して
そろそろ払わないと不味い事くらい分かっている
お情けで置いてくれているがそろそろしびれを切らすだろうとビクビクしている
《んな〜》
「なーは僕の前からいなくならないでね」
《なぅ?》
「ふふ、おなかいっぱいだね〜」
スリスリと擦りつけてくる頭を包むように撫でる
正直、僕は腹ペコだ
3日間水と塩だけだ顔色が悪かったら拾ってくれる人は少なくなる
そろそろ何か食べないと
コンコンコン
「〇×不動産です」
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