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 高くもなく低くもない。それでも男性の声だと分かる綺麗な声が、闇の中で聞こえた。 「大丈夫? 生きてる?」  その声に導かれるように、ゆっくりと重たい瞼を開いていく。  覗き込んでいる青年の姿を綺麗だな、とまず第一に思った。  日の光に照らされ輝く銀の髪。鼻筋も綺麗に通っていて、綺麗な翡翠色がかった瞳は猫の目のように気が強そうにも見える。  その姿はまるで、宝石を人間に変えたようだ。 「こ、此処《ここ》……は?」  体を横たえたままゆっくりと唇を動かし、状況の把握を試みようと視線を彷徨わせる。  どこか懐かしさを感じさせる木目の天井には、梁がむき出しで組まれていた。 「安心して良い。ちゃんと無事にここに来れたのだから……それにしても、お前は運が悪い」  同情の色の滲む声を向けられるも、訳が分からず茣蓙《ござ》に寝かされていた体を起こそうと試みる。  全身が重だるい。体が軋み、鈍い痛みが走った。それでも無理やり体を起こすと、周囲を見渡していく。  十畳ほどの広さの和室にはこれといって物が置かれておらず、手がかりになりそうなものはない。

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