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「やっぱり痩せた」  天野の耳元でポツリと呟くと、耳朶を嵌まれる。微かに強張った天野の体を、ヒスイは慣れたように擦っていくと帯を解かれる。前がはだけ、白い素肌が蝋燭の明かりの下に晒された。 「ちょっと、待ってろ」  そう言って体を起こし、立ち上がろうとするヒスイの腕を天野は掴む。 「ヒスイさん……行かないでください」 「薬を取りに行くだけだから」  ヒスイが困ったように眉根を寄せる。最初の時に使った薬を取りに行こうとしているのは分かっていた。それでも今は、一時たりとも離れたくないと思ってしまう。 「薬がないと……ヒスイさんは僕とは出来ないのですか?」 「そうじゃない。お前が痛い思いをして欲しくないだけ」 「僕は平気ですから……」  天野も体を起こすと、膝立ちになっているヒスイの浴衣の帯を外していく。  着物の前を開くと人間と変わらないヒスイの体つきを、淡い朱色の光が照らし出す。微かな興奮を示すかのように、布が隆起していた。  天野は這うようにして顔を近づけると、布をずらしその半分昂ぶった象徴に唇を寄せる。 「おい……」  微かに息を呑むヒスイの言葉を聞かぬふりして、天野は手を添えて舌を這わせていく。質量を持ったそれは、ヒスイの低い体温とは対照的に熱く重い。

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