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 四苦八苦しつつも、天野は何とか全てを呑み込んだ。目眩がするほどの圧迫感。汗ばんだ体の熱を奪うような、ヒスイの低い体温。苦しげに伏せたヒスイの目元。どれを取ってしても、愛おしさに変わっていく。ヒスイに出会わなければ、こんな感情は芽生えなかったのかもしれなかった。 「ヒスイさん……僕は貴方に出会えて幸せです……」  天野は涙で滲む視界をヒスイに向け、腕をヒスイの首の後ろに回す。ヒスイが目を開き、悪戯っぽく笑うと天野の腰を掴む。 「あんまり煽るなよ」  ヒスイが天野の頬に唇を寄せた。優しく舌が這わされていき、天野は小さく吐息を零す。掴んでいた腰を上下に揺すられ、弾けたように天野の瞳から涙がこぼれ落ちてしまう。 「ふっ……あ、んっ……」 「使わなくても十分だな」  ヒスイが興奮したように、翡翠色の瞳を光らせる。卑猥な水音が抽送を繰り返す度に静かな部屋を満たし、全身が熱に浮かされているかのように昂ぶってしまう。 「お前の涙って癖になりそうなぐらい、甘い」  ヒスイがうっとりとした口調で述べた。そんなに自分の涙は甘いのかと、天野はヒスイの唇を奪い舌を絡ませる。唾液に混じった塩辛さはどう捉えても甘くはない。 「はぁっ、しょっぱいじゃないですか。嘘つき」  唇を離し天野が悪戯っぽく笑うと、ヒスイも口角を緩め「妖怪は信じるなと言ったじゃん」と茶化すように返答してくる。天野は可笑しくなって笑みを零した。

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