168 / 185

168

「お前の笑った顔……久々に見た」  慈しむような言葉と共に、ヒスイの指先が天野の頬を撫でていく。その手を天野は上から重ね合わせる。 「僕も……ヒスイさんの恍惚とした表情、久しぶりに見ました」  天野の言葉に意表を突かれたように、ヒスイが唖然とした表情になる。頬が微かに上気し、顔を顰める。照れているのだと分かり、天野は小さく笑う。 「……絶対、許さないからな」  ヒスイは唇を引き結ぶと、天野を押し倒す。思わぬ反撃に天野は体を強張らせた。 「嫌だって泣いても、許さないから」  言うなりヒスイが天野の膝裏を抱え込み、腰を激しく打ち付けていく。 「ああっ――い、いやっ」  中を激しく穿たれ、天野は悲鳴に近い声をあげる。激しい刺激から逃げるように腰を浮かすも、膝をしっかりと抑え込まれた状態では逃れられない。激しい快楽の波が押しては引いてを繰り返し、頭が真っ白になってしまう。 「あっあっ、ひ、ひすいさん――」  天野は堪えきれずに下肢を震わせると、引きずられるようにして欲望を吐き出す。荒い呼吸を繰り返し、ぐったりとした体を布団に沈み込ませた。 「まだ終わりじゃないから」  ヒスイが悪戯っぽく口角を緩めると、再び深い抽送が繰り返されていく。終わりの見えない快楽に、天野は再び嬌声を上げた。

ともだちにシェアしよう!