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 黄緑色の光を点滅させ、傍若無人に飛び回っているその発光体は、紛れもなく蛍だった。一匹だけと思いきや、次々と飛び立つように周囲を徘徊していく。 「うわー!」 「蛍だぁー」  ミヨとミコが飛び跳ねながら、クルクルと回り始める。 「綺麗ですね。まるで宝石の粒が飛び交っているようで」  天野は素直な感想を述べるも、ヒスイは返事をしてこない。何かしら返答があってもおかしく無いのにと、天野は訝しげに視線を向け口を噤む。  蛍の淡い光に照らされたヒスイの横顔には、涙の筋が出来ていた。唇を薄っすらと開き、まるで呆気に取られている表情は、深く感動しているように思えてならない。  発光している蛍の光が、涙に色を付けているようだった。翡翠色に輝く瞳から流れ出ている涙は、まるで翡翠の宝石のように美しい。 「あれっ……」  ヒスイがハッとしたように、頬に伝う涙を拭っていく。 「俺……何で涙流してるんだ」  心底驚いた表情のヒスイと目が合い、天野はまで泣き出しそうになってしまう。 「ヒスイさん……泣いたって良いんですよ」  天野はヒスイの手を優しく取り握りしめる。

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