Side K 　ぶぇっくしょいってクシャミしたら観月がげぇって表情で俺を見た。オヤジくせぇって言ったの聞こえてますよ～。 　こいつが何か言いたいことがあるっぽいのは分かったけど、なかなか言い出さない。でも俺から促してやることでもないよね。俺のコトじと～って見つめて、また顔だけはどうだのって言い出すのかな。顔立ちのことで羨まれたり憧れられたり色々言われたりとか結構あるけど、中身を見ること拒否されるよね！ちょっと損！顔が良いのは何遍も言われて理解できたけど、現実問題正直得ない！モテないし！ 「お前さ、」 　ひとり嘆いてたら観月がやっとそれっぽいこと言いそうだったけどすごいタイミングよく観月のケータイ鳴って、校内ではマナーモードにしておけよって俺は言っておく。 　朝比奈のこと、観月に喋ったのは間違いだったのかな。なぁ教えてくれよ、青空さんよ。なぁ答えてくれよ、ランちゃん、リンちゃん、レンちゃん、ロンちゃん。この前死んじゃったルンちゃんも。観月が階段を下って電話に出ている声が響く。別れ話だね。シタデに出て絶対俺には聞かせないような声音と見せない態度。まぁやられたら気色悪いわ、絶交するもん。パッと別れてくれない女はダルいよね。でも試されてるのかもって期待もしてたりしたいんじゃない？本気なら尚更。本気、ね。相手なんていないよ、いないんだ。手、出す気ないし。どうしてカワイイ幼馴染とカワイイ後輩の間を割って入るのさ。キャラじゃない。ムリでしょ。何事にだって本気になれないんだから。なれないの？違うでしょ、ならないようにしてるんだよ。だってつらいでしょ。叶わなかったら。セーブできちゃうくらいには軽いんだよ、ほらやっぱ本気になってない。全てに興味がないってコトだね要するに。 　唇を撫でる。くだらない。観月の口癖移っちゃった。どうせはさ、何もかもなるようになっちゃうんだよ。でも俺は動かない、参加しない。ねぇ、朝比奈、どうするの？お前上手くやれるの？