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Side W
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照れてるだけでしょ。小松はこういう時親身なのか他人事なのか分からないわ。
「カワイイ幼馴染が取られて悔しいか」
冗談で言ってみたら一瞬マジな雰囲気になってすぐいつものヘニャヘニャ面に戻って、びっくりしたマジ図星だったわとか言うからこういうトコロ本当長いけど分からないわ。
「っつーかキスくらいで照れるかよ」
「いや~特別な意味合いあったりするよ~?」
ロマンもへったくれもないこいつの口から?そんなこと聞けるのか。
「特別な意味合いねぇ?」
「そ、特別な意味合い」
何言ってんだこいつ。映画の観すぎじゃない?
「セックスできてもキスは出来ないとか言わない?非行乙女のポエムみたいかな」
は?聞くか?ってか非行乙女って何?非行少女?っつかそれ以前にセックスの方がキツくない?まぁ頭の良い小松が言うからそうなんだろうな。
「さ~て俺はどうすっかな」
「何、何かあんの?」
小松の独り言。特に意味はないんだろうが、オレはたまに拾ってしまう。ほら、オレやさし~から。小松は逆に、俺なんか言った?みたいなカンジで無意識に言ってたのかよ。
「ほら、そろそろ進路とか、決めなきゃじゃん?」
小松のそこそこデカい目がアーチみたいにきょろきょろして、これ嘘つくときの仕草じゃん、まぁいいや。
「オレ全然決めてねぇや」
「観月はまだいいんじゃない。今は新しい恋人のコトでも考えてなって」
自分のことみてぇに嬉しいのな。まじでこいつ自分のことオレの母ちゃんだと思ってない?思ってねぇだろうな、こいつが親ならもうちょとオレ多分マトモ。放任主義過ぎ。
「なんだそれ」
小松はじゃあね、つってどっか言った。新しい恋人ねぇ?他に好きなやつがいること前提で?すげぇことするよな。フラれたとか?そのアテツケ?だとしたらアイツも結構やるやつなんだな。まぁオレも気持ち良ければいいし、いいんじゃない。利害の一致。アイツが誰を好こうが付き合ってるのはオレで、頼りにされたのはオレ。冷生チャンにはなんて言おうかな。もう知ってっかな?アイツと付き合っていくなら顔合わせないってムリだもんな多分。いやそれはアイツが気ィ遣うだろ。でもアイツに気ィ遣わせるのそれはそれでイヤだな。オレの唾つけたもんだし、それにオレが気が利かないみてぇだろ。よく分かんないけどあのガキんちょのためでもあるんだもんな、オレと付き合うの。
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